10/13/2024, 10:35:46 AM
-子供のように-
とある夜であった。
網戸の外、澄み切った光を絞りだす月の下で、わたしはただぼやりとしていた。生きている意味とは何なのだろうかと。そう思うわたしに、涙も優しさも、悲しみもなかった。
ただ、わたしの生きる意味というものを、
子供のように探し回る姿が、そこにはあった。
なぜわたしはこうして生きているのだろうか。
生きる価値とはなんなのだろうか。
永遠に辿り着けない答えを探し求める。
まるで幼い子供のようだった。
10/12/2024, 11:19:31 AM
-放課後-
1
白と橙の空がとけた風が、ぶわりと背を押してくる。文化祭のために、学校終わりに校庭でなにか練習をしているらしい。笑い声が遠くから聞こえてくる。人がまばらに走り回っている。
風が、ぶわりと、背を押してくる。
家に帰らなければ。
2
ぐおんぐおんと古くなった扇風機がまわる。
もう、買い替え時だろうか。7度も共に金木犀の花開きを見た。そ、と扇風機に手を添える。
音が無くなった。
この扇風機は、やっと仕事を終えたのだ。
扇風機を労わるように、
風が、ぶわりと、吹き抜ける。