私には、自分が見える。つまり、私とは自分の感情や行動を見守る、理論的な司令塔なのだ。自分の行き過ぎた感情を制御し、ヤケにならないよう自分の熱を冷ます。だが、私にとって自分とは尊く、愛おしいものなんだ。ミスや失敗などは、司令塔である私の責任で、自分は悪くない。なのに、周りから責められるのは自分だ。私は、全て自分を通して私の思考の形跡を残すのだ。
自分は、私をこの世に自分のバディとして存在することを許し理解してくれる、いちばんの味方なのだ。行くべき道を、行きたい道を私に示してくれる、道標でもある。
みんなも、自分を責めないでください。
君だけが欲しかったんだ…。
私を理解してくれる…
私を否定してくれる…
それと同時に私を肯定してくれる。
何回望んだことか。
自分が欲しい。
ぶら下がっている目の前の0の縄を掴む、
首を通す、
台から飛ぶための足が震える、
飛べ、
飛べ、
飛んだ、
苦しい、
…、
あぁ、
夜が明けた。
〜愛〜
「あぁああ!!!見つけたぞぉおおお!!!」
「うるさっ」
「仕方ないだろ!!久しぶりの人の恋!!人の恋の仕事!!」
「知ってる?恋のキューピットってささやかな存在なんだよ?ささやかさもクソもないぞ」
「じゃあ知ってるか?恋のキューピットって可愛らしくて上品な存在なんだぞ?お前には可愛さも上品さもないな!!あと、私たちは恋のキューピットじゃなくて、恋の仲介者だから」
「細かい。普段の行動からは考えられないほど細かい」
「そんなことどうでもいいけど、早く仕事行くぞ。人の恋だ。今までてんとう虫やダンゴムシばかりだったからなぁ」
『しぃー』
『静かにしなさい』
『静かに』
『黙って』
そんな言葉を無視し続けた。「私」に強い自信があったからだ。
「もういいわ、お前」
あぁ、ついに言われてしまった。他人からの落胆の言葉。悲しみの奥に、ほっとしている「私」が居る。もうこれ以上落ちることは無い。落下の心配は無くなる。
こんなにほっとするなら、もっと早く『自分』の言葉を無視しておいて良かったな。