#幸せとは
眠る前に読んだり見たりするこの時間。
たまに寝不足になるのはご愛嬌と言う事で。
配信を見ながら静かに一人で迎えた新年。
人混みは嫌いだから外で過ごした事はないけど、なんだか毎年部屋で新年を迎えるのも変わり映えしないなと思い、配信を聞きながら近くのコンビニまで行くことにした。
田舎で何時もは人の気配しない夜道も、今から初詣に向かうのか車や人とぽつぽつすれ違う。
配信者のあけましておめでとうを聞きつつ、ひとり夜空を見上げながら歩く新年はなんだか気持ちがよかった。
コンビニも人がぽつぽつ居て、人が居るんだなぁと自分だってそうなのに他人事の様に思えた。
適当にジュースとアイスを買って帰ろうとしたが、レジ横の肉まんを見て急に食べたくなり、肉まんも買ってしまった。
しかも袋入りませんと言ったあとだったのでそのまま渡される事になったが、肉まんを食べながら歩いて帰る夜道も何だか良くて、今年は良い1年にしたいなと思えた。
あけましておめでとう。
行かないでと、願ったのに。
毎日毎日、行かないでと願った。
なのに願いは届かなくて。
最後まで「行かないで」と言葉には出来なくて。
ただ、君の後姿を見送った。
どうか。
どうか幸せに過ごせますように。
叶わないと知っても願ってしまう。
今度こそお願い届いてね。
「それはね、秘密の標本」
「秘密の標本?」
「うん」
いつも気になっていて何となく聞かずにいた机の上の箱。
中身を聞いてみるも、返ってきた答えに謎は深まる。
「隠してないのに秘密ってなんで?」
「えぇ?うーん…秘密のノートとかさぁ、中身が秘密なだけで普通に出したりするじゃん?そんな感じ」
「どんな感じだよ」
「こう…忘れた頃に中身みるとさ、うわーっ!ってなるから分かりやすい所に置いてんの」
「ふーん…」
「…中、見てみる?」
「いいの?」
「後悔しないなら」
秘密の標本と言われて、気にならない訳がない。
何が入ってるのかもう一度聞くが、相手は言葉を濁すばかりで本当に後悔しないでね?と念押しをしてくる。
標本、と言えば昆虫か宝石のイメージがあるが、そんなに濁すのなら虫だろうか?秘密と言う言葉に想像が掻き立てられながらそっと箱を開けてみると、
「……にんげんの、歯?」
「うん」
「え、なにこれコッッッワ!!」
予想してなかった、綺麗に並べられた人間の歯にぞわわと鳥肌が立つ。
「…両親がね、初めての子供で何でも記録したがりでね…これ、小さい頃の乳歯の標本なんだ」
「いや怖すぎる。お前の両親変わってるよ!てかこんなの机に置いとくなよ怖いわ!」
「さっき言ったじゃん。これなんだっけ?って忘れた頃に中見ると驚くから。だから、秘密の標本」
「お前の感性も変わってるわ!」
さっきまでのワクワク返せよ!ちくしょう!
凍える朝。
外は明るくなっているが、部屋はまだ薄暗い。
寝ぼけた頭で今は何時なのかを確認する為に、手探りでスマホを探す。
ようやく探し当てたスマホは驚くほど冷たくなっていて、また布団に潜り込む。画面の眩しさに目を細めながらも時間を確認すると午前5時。まだ寝れるじゃん、と思いそのまま微睡んでいるとポコン!と通知音に驚いて体が跳ねた。
「誰だよこんな時間に…」
また目を細めながら画面を確認すると、友達から『やべー!朝から虹みえるんだけど!』の文と一緒に写真が送られている。
確かに綺麗だが…こんな朝にコイツ何してんだ。と呆れ半分で画面を眺めてると、また通知がポコン!と鳴る。
『忘れてた!おはよ!』
そっちかよ。と思いつつも『おはよ虹綺麗だな』と返す。
眠気が何処かに行ってしまったので、伸びをしながらカーテンを開ける。空には写真で見た虹。折角だからと自分も撮ってみる。
「写真撮るのうまいなアイツ…」
なんとなく悔しくて結局ふて寝した。