鏡の中の世界は何もかもがあべこべ
鏡の中の自分はきっと
明るくて社交的で、皆に好かれているんだろう
羨ましいなあ
悩みも苦しみも悲しみも無く
涙だってきっと流さない
……だけど、それって少し寂しい
何故だかそんな気がした。
「鏡の中自分」
「永遠」なんて御伽話。
初めから、分かっていたはずなのに。
それなら、確かな愛が存在していたあの日のうちに
「永遠に愛してる」なんて語り合ったあの日のうちに
死んでしまえば良かった。
「永遠に」
過去に一度、真っ暗な闇の中にたった一人閉じ込められたことがある。
暗がりの中で、手を伸ばした。
必死に縋ろうとするけれど、何度試しても手のひらは虚空を掴むだけ。
怖い、怖い、怖い……
闇の中、どちらに進めば前なのかも分からなかった。
周りに、誰か居るのかも分からなかった。
この暗闇が、何処まで続いているのかも分からなかった。
入口も出口も分からずに、ただ闇の中を孤独に彷徨う。
毎日毎日、歩いて、彷徨って、藻掻いて
とうとう疲れ果て、何もかも諦めかけた時。
小さな、小さな明かりを見た。僅かな光だった。
けれど、闇の中で何度も流した涙より、温かかった。
暗黒の世界に閉じ込められた私を出口へと導いてくれた唯一の道標。
それは多分、不器用な貴方の温もりだったように思う。
「暗がりの中で」
もしも私に翼があって 高く高く飛んで行けたなら
今より少し、貴方に近づけるのに。
風にのって、ふっと貴方の笑い声が聞こえてくるかもしれない。
高く高く、少しでも高く 上へ上へと飛んでいくから。
そしたらある日雲の中で、偶然貴方に会えたりしないかな。
もしも私に翼があって、貴方の側まで飛んで行けたら
貴方は私に会いに来てくれますか?
ただ、貴方に会いたくて。 朝も昼も夜も、空を眺めている。
夜空に輝く無数の星。あの中に、貴方も居ますか?
死ぬのはきっと簡単。けれど、勇気なんて私には少しも無くて。
星空を眺め眠りについて 鳥たちの歌声で目覚める朝。
あんな翼が、私も欲しい。
朝を告げに来る小鳥たちに 私が思うのは、そんな事。
「高く高く」
早起きな君は、毎朝6時過ぎには僕を起こしに来た。
寝室のカーテンを勢いよく開けて、更に電気もつけるもんだから、眩しくて逆に目が開けられない。
目覚まし時計は7時にセットしてるんだけど。
そんなに勢いよくカーテンを開けたら痛むだろ。
毎回そんな理由をつけては、やめてくれと頼んだけれど
「早く起きたほうが沢山一緒に居られるから」なんて言われると、何も言えなくなって。
……ああ、心配しなくても今は一人でもちゃんと起きれてるよ。
大体、僕は目覚まし時計のアラームが鳴ればちゃんと起きられるんだ。
ああ、それと……
最近、寝室の真っ白なカーテンを地味な色に変えた。
……別に? 君が毎朝あんなに勢いよく開けていたってのに、それほど傷んではなかったよ。
ただ、少し……
君が居なくなった今、僕にはあの色は何だか眩しすぎると思ってさ。
「カーテン」