冷えた指先が嫌でも冬を自覚させてくる。この時期は駄目なんだ、冷え性には辛すぎる。はあ、と大きく息を吐いて指先を温めようとしても一瞬すぎてなにもあたたかくない。
「大丈夫?」
ふと、君が声をかけてくれるなんて思わなくて。僕は驚きながら勢いよく首を縦に振った。
「そう。今日は寒いから気をつけてね」
何気ない一言で全身がかあっと熱く感じる。
指先はもう寒くない。
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テーマ「微熱」
もしも、来世があるとして。
そこで君と巡り会えるとしたら、握った拳を思いきり叩きつけてやりたいよ。
俺より先に逝きやがって、今世で精一杯生きてやろうぜ相棒って、さ。
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テーマ「巡り会えたら」
いい日になる?
そうかい、君にとって今日はとても良い一日だったんだろうね。それは素晴らしいことだ。
だが、君の世界がいかに色鮮やかでいようとも、他者が同じなんてことはないんだ。それを知ると、君はより賢い人間になれるよ。
例えば、ここに薔薇の花が一輪あるとしよう。この色は――そうかい、君には赤に見えたんだね。僕には黄色に見えていたよ。
世界は人それぞれ、見えているもの、感じているもの、感覚の全てがみんな違うんだ。
だからこそ、もう一度、もう一度言ってごらんよ。
「きっと明日も、いい日になる?」
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テーマ「きっと明日も」
本当に時間が止まったらどうなるんだろう。
その瞬間、俺の意識は働いているのか、それとも時間と同様に止まってしまうのか。
もしかしたら、今この瞬間も時間が止まっていたかもしれないと思うとあなたはどう思う?
俺はなんとも思わない。
止まった時間の中に俺がいないのなら、それはそれで、どうでもいい。
でも、世界の時間が止まって俺だけが動いていたとしたら――それは嫌だな。だって、独りは寂しいから。
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テーマ「時間よ止まれ」
見知った景色が変わるような気がした。
形は全く変わらないというのに、夜になっただけで別世界みたいだ。
ギラギラ。ピカピカ。ザワザワ。
五感のすべてが疼く街に一歩を踏み出す。
内心、震える心があったが、これはきっと武者震いだ。きっと、きっとそうだ。
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テーマ「夜景」