日常が日常になりますように。
「日常」
儚い、淡い青紫色。
朝だけ爽やかに咲いて落ちてしまう、
朝顔の色。
「好きな色」
あなたがいたから
私の時は止まったままなんだ。
私の見る景色は変わらないんだ。
あなたがいたから
私は変わらないんだ。
ずっとずっと
泣いているんだ。
あなたがいたせいで
私の人生はこんなにも
狂ってしまったんだ。
「あなたがいたから」
「なぁ、傘入れてや。マンション同じやし」
そう言って傘の中に滑り込んできた私の幼馴染。
「は、はぁ!?い、嫌やて男女で相合傘なんて!変な噂立ったら困るし…!」
嫌やと言いながらもちょっと申し訳なくなってきて、傘を彼に少し、傾ける。
「はぁ?男女?誰もお前のこと女と見てないで。やから安心して。」
さらっとオトメに向かって爆弾発言する彼。むすっとして私は傘を自分の方に傾け直した。
「あっ、ちょっと!すまんて!悪かったって!」
「調子ええんやから、あんたは。」
そう言って私はもう一度彼に傾け直してやる。
「あぁ、別にええよそこまでせんでも、ほら、お前の方に傾けとけよ、女の子なんやから。」
彼は私の手……まぁ正確には傘の持ち手の部分を掴んでぐいっと私の方に傾けた。
「な…何や、さっきの発言と矛盾してるやんけ 。」
顔が赤くなっていくことを実感しながら私はふいとそっぽを向く。
丸くて小さい、静かな世界に2人きり。
呼吸の音、もしかしたら心臓の音まで聴こえてきてしまうかもしれない狭い空間。
外は雨で冷たいけれどここは何だか暖かい。
覆いかぶせるように掴んできた手はそのまんま。
彼は離す気はないだろう。私も離してほしくない。
狭くて静かな世界に2人きり。
気まずくって、そこにあった小石をこつんと蹴る。
彼と私の肩もこつんとぶつかった。
「相合傘」
大好きな君の揺れる髪を眺めながら…
大好きな君の手で…
地面に墜ちてゆく
「落下」