雨上がり、陽の光が雲間から差し込む。
今、新しい葉が芽吹く。
枯れた大地に、小さな芽がひとつ。
やがて、その小さな芽は大きな森を築くだろう。
その芽吹きは命の始まり、誰も知りえぬ芽吹きは、
やがて人々の憩いの場として、知れ渡ってゆく。
手のひらに差す陽の光の温もり
それは、あの時に握った君の手のひらの温もりに似ていた。
だからってこの手はずっと温いままじゃないし、
それに君が戻ってくる訳じゃない。
やがて手のひらの温もりは冷めてゆく、
あの日君の手を離した僕の手はすっかり冷えきって、
今はもう空を掴むばかりだ。
優しいあなたの背中を追いかけてばかりいた、自分も優しくて頼れる人間になろうって努力していた。
そんな理想が散ったのは、つい最近だった。
私はあなたの葬儀場に来ていた、線香の匂いが鼻につく。
やけに小さな骨壷に入ったあなたは、あの頃の高い背丈が嘘みたいだ。
遠かった背中は、とうとう消えてしまったみたいだ。
あなたの遠ざかった背丈は、もう見えない。
冬の白い雪が、あなたの墓に白いベールを被せている。
雪のしんしんと降り積もる世界に、あなたの記憶が埋もれてゆく。
どんなラッピングを選ぼうか?
水色の水玉模様、ピンクのハート柄、オレンジのヒヨコ模様…
どれもかわいいけれど、彼にはふさわしくない。
諦めて、シンプルな青と金のラインの入ったリボンを買う。
それを白い箱に巻いて、リボン結びにして
出来上がり
今日は彼の誕生日だ、プレゼントは彼の欲しがっていた腕時計。
でも、重要なのはそこじゃない。
今までお世話してくれたお礼を、手紙に書いて添えた。
喜んでくれるといいんだけどな
くるくると回る羅針盤の針は、
どこもさしてはくれない。
さまよう羅針盤の針
頼りきりじゃだめだ
自分の道は、自分で決めなくちゃならない。
とうとう動かなくなった羅針盤を砂の上に置いた
砂漠を進む旅人は、星の導を頼る。
長い旅時に、羅針盤は置いていかれた。
そしてただ、羅針盤は朽ちてゆく。