書上 創

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3/1/2025, 2:19:02 AM

手のひらに差す陽の光の温もり
それは、あの時に握った君の手のひらの温もりに似ていた。

だからってこの手はずっと温いままじゃないし、
それに君が戻ってくる訳じゃない。

やがて手のひらの温もりは冷めてゆく、
あの日君の手を離した僕の手はすっかり冷えきって、
今はもう空を掴むばかりだ。

2/9/2025, 9:28:29 AM

優しいあなたの背中を追いかけてばかりいた、自分も優しくて頼れる人間になろうって努力していた。

そんな理想が散ったのは、つい最近だった。
私はあなたの葬儀場に来ていた、線香の匂いが鼻につく。
やけに小さな骨壷に入ったあなたは、あの頃の高い背丈が嘘みたいだ。

遠かった背中は、とうとう消えてしまったみたいだ。
あなたの遠ざかった背丈は、もう見えない。
冬の白い雪が、あなたの墓に白いベールを被せている。
雪のしんしんと降り積もる世界に、あなたの記憶が埋もれてゆく。

1/23/2025, 12:46:10 AM

どんなラッピングを選ぼうか?
水色の水玉模様、ピンクのハート柄、オレンジのヒヨコ模様…
どれもかわいいけれど、彼にはふさわしくない。
諦めて、シンプルな青と金のラインの入ったリボンを買う。
それを白い箱に巻いて、リボン結びにして
出来上がり

今日は彼の誕生日だ、プレゼントは彼の欲しがっていた腕時計。
でも、重要なのはそこじゃない。
今までお世話してくれたお礼を、手紙に書いて添えた。
喜んでくれるといいんだけどな

1/22/2025, 5:43:01 AM

くるくると回る羅針盤の針は、
どこもさしてはくれない。
さまよう羅針盤の針
頼りきりじゃだめだ
自分の道は、自分で決めなくちゃならない。
とうとう動かなくなった羅針盤を砂の上に置いた
砂漠を進む旅人は、星の導を頼る。
長い旅時に、羅針盤は置いていかれた。

そしてただ、羅針盤は朽ちてゆく。

1/19/2025, 7:35:50 AM

小さなガラス細工…
その中には綺麗な星座モチーフの図柄が描かれている。
それを、月明かりに透かす。
キラリと光ったそれは、まさに星のまたたきのようで
私は、その輝きに見とれていた。
昔から、大好きだった天体観測。
今の都会に来てからは、街明かりが眩しすぎて星が見えないから。

だから、誕生日に小さな星座を買ったんだ。

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