愛情
母から貰ったもの。
父から貰ったもの。
友から貰ったもの。
皆から貰ったもの。
気づけなくてごめんなさい。
自覚がなくてごめんなさい。
返せなくてごめんなさい。
私は私を大切にできなかった。
私を許すくらいならば
自分を大切にできる誰かを
人を愛してあげれる誰かを
深く愛してあげてください。
ありがとう。
落ちていく
速く、速く、もっと速く。
上から下、上から下、上から下。
あなたは落ち続ける。
わたしは立ち尽くしている。
止めようにも、わたしの腕は砕けてしまった。
あなたを止められなかった。
わたしは、落ち続けるあなたを見ることしか出来ない。
この腕では、共に落ち続けても、抱きしめられない。
ただ、落ちていくだけ。
夫婦
これから一緒に生きていくんだ。
そう思いながら、彼女に指輪をはめた。
細い指が印象的だった。
自分の指と比べて、とても小さいと思った。
今ではどちらも弱々しくなってしまったけれど、
いつまでも変わらないものもある。
どこまでも続く青い空
……死のうと思った。
死ぬほど辛いわけじゃない。周りが死んだわけじゃない。ただ、疲れたんだと思う。
やりたいこととできることが全く違うように感じていた。やりたいことができる能力なんてなかった。自分では努力したつもりだったけれど、才能は応えてはくれなかった。
ヒーローになりたかった。誰かを守りたかった。何があっても負けない圧倒的な力、凪いだ海のような思考、ほんの少しも歪まない正義感、全部欲しかった。そんなこと叶うわけがなかった。ひとつだけでもと願った。でも欲張ったから、どれも得られなかった。そもそも、ヒーローなんていないと最近になって気づいてしまった。
カメラマンになりたかった。世界を切り取りたかった。本当にこんな光景があるのかと聞かれたかった。この世界は綺麗なものだと知って欲しかった。誰かの幸せを記録したかった。木枠に納めて、幸せを形にしたかった。そんな一瞬との出会い方がわからなかった。みんな感性が違うことを知った。世界に比べて自分はちっぽけだと気づいてしまった。
作曲家になりたかった。頑張れって伝えたかった。みんなに夢を叶えて欲しかった。一生懸命な人を応援したくなるのは、自分が折れた経験があるからだ。そんな人たちも応援したかった。歌詞を書くには成長しすぎたと思った。メロディは空を飛ばなかった。折れた経験を憂うことしかできなかった。一生懸命なんてもの忘れてしまっていた。
夜風が気持ちいい。少しひんやりとしている。澄んでいる空気に虫の音が響いている。今を生きることをひたすらに考えている中、そんな綺麗なものにどう出会ったのか聞いてみたいと思った。叶わないことは知っていた。死に際の夜景は嘘のように綺麗だった。
足元にある壮大な深い青に覆われながら、飛んだ。
風船が割れるような音がした。
声が枯れるまで
泣いてもいいよ
そう言ってくれた
私もそうしたい。
いつか泣けたらいいなぁ