夏
蝉時雨の中、目が覚める。
硬くて汚いけれど、玄関の方がよく寝れる。
友達には変って言われるけど。
でもまぁ、しょうがない
きっと……すぐに逃げられるからだと思うから。
精神的に不安定な兄。
叱れず怒鳴ることしかできない父。
世界の中心に生きる妹。
兄のようになるなと暗示をかける母。
それぞれ許容し合ってきてたみたい。
でも僕はそんなこと出来なくて。
家よりも学校の方がリラックス出来ていた。
そんなことはどうでもいい。
ひとりで自分語りしてる暇なんてない。
もうそろそろ家族が起きてくる。
時間に合わせて掃除をしよう。
きっと機嫌が良くなるだろうから。
正直
──はは、、よくわかったね
ほんとはしんどい。
ほんとはやめたい。
もうつかれちゃったんだ。
どれだけ頑張ってもダメだったんだ。
「努力は経験になる」なんて関係ないよ。
なんてね!
アハハ〜!冗談だよ〜!
もっともーっと頑張るよ?
努力は実るまでやれば報われるのさ!
なにがなんでも!実るまで続けるよ!
逃れられない
どれだけ絶望したって。
どれだけ嗚咽したって。
どれだけ目覚めを嘆いたって。
僕らの星は理想回り、回られる。
いつか必ず月と太陽は重なる。
いつか夜は明け、朝が来る。
今日が何曜日でも、月曜日は来る。
だれも──
理想のあなた
私が好きになったのは理想のあなたじゃない。
自分を卑下しないで。
可愛らしい笑顔が大好きなの。
好きなことを話す声が大好きなの。
綺麗なものを見て輝く目が大好きなの。
だから、
人に好かれることを怖がらないで。
愛があれば何でも出来る?
愛があればなんでも出来る、と友人が言った。
それに僕は、重いと思った。
──別にダジャレじゃないし狙ってないよ。
でもさ、実際そうだろ?
もし僕を愛してくれる人がいたとして、
その人が僕のためになんでも──
例えば、重病にかかった時に僕のドナーになるのか?
その時差し出すのは?
呼吸?視覚?はたまた命?
必要なものを自分から奪った時、死んでしまうとしたら。
あなたは命をもってしても僕を助ける?
助けるのは、なんのため?
「死んだら可哀想だから」「あの人には死んで欲しくないから」
どっちでもいいけど、それは本当に相手を考えてるの?
「その人が生きる」それは「あなたが勝手に想像したその人の幸せ」
ただそれだけ。自己満足でしかないよ。
ただの自殺願望だ。日本で唯一許される安楽死だ。
その狂気、生存本能への反逆は、人からしたら恐怖でしかないよ。
……それにさ。
その人があなたを愛していたら。
もしそうだったなら、その人もおんなじ気持ちだよ。
「生きて」「死なないで」
あなたがするはずだった別の苦しみをその人に押し付けるの?
その人に「大切な人がいなくなった悲しみ」を背負わせるの?
その上死んだ理由が自分のためだなんて…
辛くて辛くて耐えられないよ。会いたくて仕方がないよ。
……もしも話でここまで展開させても、なんにも意味が無いね。
ただの「もしも」だから。
さて、僕は最初「重い」と言ったけれど、頭が整理されて意見が変わった。新しい主張は「怖い」。
理由は「生存本能を上回ること」「それが自己満足だとしても気づかないこと」。
あなたはどう思った?
ただの「理想」?それとも「ロマンチストの戯言」?
まぁ僕にとっては別になんでもいいのだけれど。
ただ、忘れないで。
・あなたを愛する人もいるよ。愛してくれる人を大事にしよう。
・その行動の理由を考えること。「愛する人の幸せ」って、一体何?
それじゃぁね。