初恋の日
急に頭を砕かれたのだろうか。
肋は折れていないか。
指では何も感じることが出来ない。
あぁ、好きだなぁ。
現実なんて見えないほどに
五感が全てあなたに向いてしまう。
あぁ、叶わないんだろうなぁ。
諦めてしまった。
私には届かない。
私の小さな体じゃ
あなたの視界に入ることすら出来ない。
私の小さな手じゃ
あなたの涙を拭い切れない。
あなたのために何をしてあげられるだろう。
私の涙すら止められないのに。
明日世界が終わるなら
明日隕石が落ちるらしい。
家族で集まって過ごす人
恋人と一緒に過ごす人
友人と共に過ごす人
今終末、色々な過ごし方をする人がいるが
私はただひたすらに寝ていよう。
うつらうつらする意識の中
私は今までの人生を思い返していた。
なーんの変哲もないつまらない人生だった。
来世では、よりよい人生を歩みたい。
まぁ、きっと無理だろうけれど笑
風に乗って
大雨を降らせるあなたへ。
泣きたいのはこっちだ。叫びたいのはこっちだ。
急に遠くに行くなよ。別れなんて寂しいよ。
居なくなってから曲作りはしてない。
何も思い浮かばないから、もうミュージシャンとしても終わりだ。
あなたへの気持ちだけが溢れてくる。
伝えたい。知って欲しくて仕方がない。
ギターの弦が弾けない。指が震えて止まらない。
溢れる涙が止まらない。
悲しみが怒りに変わり始めた。
落ち着かなくて仕方がない。
耳が、足が、手が、口が。共鳴が収まらない。
部屋を飛び出した。駆けた。ただひたすらに。
理由なんていらない。ただあなたとの思い出の場所へ。
──どうか、どうかこの暴風雨に乗って私の気持ちが届きますように。
くらえ、この絶唱を。
刹那
──友達なん?私たち。
女友達から送られてきたひとつのメッセージ。
友達だよって返せなかった。そんな余裕無かった。
衝撃的だった。信じられなかった。
一緒に帰っていた時間はなんだったのか。
文化祭の帰りにアイスを食べに行ったのは?
あなたが母子家庭だと知っているのは俺だけだとあなたは言っていた。
虚言癖の口軽男なんて評価して「信用出来ない」とまで行っていたのにそんな話された時は驚いた。
あなたの彼氏の愚痴を聞いて、別れる相談をされて、手伝ったこともあった。
家族の愚痴も聞いた。父親にも母親にも姉にも妹にも会ったことは無いけど、どんな人なのかは把握していた。
病んだ時に慰めた。アポなしで急に電話がかかってきた時は驚いたけれど、電話に出てひたすら話を聞いて落ち着くまで待っていた。
周りに付き合っていないことを驚かれるくらいには仲が良かった。
仲がいいと思っていた。
友達とは何か聞いた時、「少人数で遊びに行った人」と言っていた。
遊びに行ったこともあったのに、それすら覚えていないなんて。
今まで一緒に帰っていたのはただのクラスメイト。
別れ話に付き合わせていたのもただのクラスメイト。
遊びに行ってもただのクラスメイト。
友達ってなんだっけ。仲の良さってなんだっけ。
遊びに行った記憶もただの思い込みなのか。あの人にとってカラオケは遊びに行った判定にならないのか。じゃぁあの人の遊びってなんだ。
俺はただの便利な人なのか。都合のいいだけの男としてしか見られてなかったのか。いや、そもそも俺は人だったのだろうか。
そんなことはもうどうでもいい。俺は人間のはずだった。今もそのはずだから。選ぶ権利くらいはあるから。あるはずだから。
LINEは消した。インスタもフォローを外してフォロワーからも消した。
位置情報アプリは残しておこう。もしかしたら役立つかもしれない。既に住所は把握しているけれど、念の為に取っておいて損は無いはずだ。
刹那に過ぎた高校生活の半分が崩れ落ち、見る影もない。
ルール
1. 自我をださない
2. 欲をださない
3. 自分のことは自己解決
4. 余裕を持つ
5. 好奇心、行動力をもつ
これらを守り、
普通の人になるように。