星が溢れる
初めての街。初めての景色。初めての空気。初めての学校。
地元を離れて大学に通うことになった。
オシャレなカフェ。広いデパート。高いビル。様々な服装。
都会の表と裏。満員の電車。大きな交差点。
田舎育ちの私には、初めてに囲まれた生活だ。
星も見えない。
……地元で見た星空をいくら探しても、見つからない。
高いところから見下ろせばいくらでも見れるのに、見上げた途端になくなってしまうのだ。
それはそれは綺麗な空だった。黒い背景にびっしりと並ぶ白い斑点は、一時期流行ったスマホカメラのフィルターを思い出させる。
目の煌めきが止まらない生活もつまらなくはなかった。星のような夜景を眺めるのも、様々なものがあるのも、退屈はさせなかった。
─それでも私は、暗闇に溢れる星をもう一度みたい。様々な星を…
私の目から溢れたのは星なのだろうか。
過ぎ去った日々
あいつと喧嘩した。意見が真正面からぶつかった。
エアバッグは機能していなかったが、清々しく思えた。
あの人と一緒に歩いた。赤いコーンと警告色の棒を蹴り飛ばして歩み寄ってくるあの人は、「Keep out」を包帯代わりに使っていた。
車と自転車の違いと、道徳を知らない3人は、車道を2車線使って蛇行運転をして笑っていた。
そんな道を─もうただのアスファルトで出来ているだけだ─これからは懐かしく思うことしか出来ない。
絆
あなたはガサツで、不器用で、口下手だけど、
私の隣にいてくれる。
私の手を離さないでいてくれる。
あなたと居れば、今嫌なことなんて、心底どうでも良くなるのだ。
プレゼント
驚きで喜ばせるサプライズか
物を選んで時間も利用するか
どちらが正しいかなんて分からない
どちらも正しくないかもしれない
それでもあの人が喜んでくれるなら
正誤関係なく僕も嬉しい
冬は一緒に
高校の再考査は友達と一緒に
クリスマスは恋人と一緒に
正月は家族と一緒に
ひとりぼっちなんて存在しない
もしそんな人がいるのならば
その人は「一緒にいてくれる人」の存在を
まだ知らないだけ