鏡
殴る
こんなのは俺じゃない
映すな
やめろ
お前なんか知らない
みたくもない
でていけ
何度も殴る
真実を語る鏡は嫌いだ
頼むから俺を見せないでくれ
折角作り上げてきたんだ
鏡が砕けた
手の滴りより自分が死んだ快感に消される
気持ちがいい
いつまでも捨てられないもの
彼が羨ましかった。
雨に打たれながら、下駄箱前で歌って踊る彼が。
一度濡れれば、どれだけ濡れても同じだ。
そう体で表現していた。
周りの人から「馬鹿だな」「恥ずかしくないのかな」なんて言われてはいるが、誰も彼も表情は明るい。
暗い雲のしたで、彼はいちばん眩しかった。
私は知っている。
恥を恐れて何も出来ない人は攻撃的になるのだと。
馬鹿だ!恥ずかしいやつだ!と笑うことを。
恥を捨てろ。恥を捨てろ。
そう自分に言い聞かせても、やっぱり恥ずかしい。
誰もが捨てれないものを、彼は一番に捨てた。
そうして彼は、誰よりも楽しそうに生きていた。
誇らしさ
もっと勉強を。 なんのための勉強だろう。
もっと運動を。 なんのための運動だろう。
自分に自信を持って。 これは親の教育でできた功績だ。
「あなたが息子で誇らしい」 「出来損ないはいらない」
そう言って貰えるように。 そう言われないように。
あの人たちの夢を僕が叶えるんだ! 俺の夢ってなんだ?
人から望まれる人になるんだ! 俺のやりたいことってなんだ?
誇らしく!誇らしく! なんて惨めな人間なんだろう
ねぇもっと! まぁいいや
僕を見て!評価して! 誰も俺を知らないし
誰よりも存在感を出すんだ! もういっそ消えてしまいたい
そうすればいよいよ! そうなればいよいよ
僕は誇らしい人生を 俺の人生に誇らしさ
歩めたことになる! なんてなかった。
夜の海
夏の夜、海風を感じる。
空と海が繋がり裂け目が見えない。
あの夜、あなたを思い出す。
私とあなたの繋がりが見えない。
あなたは何を思っていたの?
あの時どうすれば良かったの?
ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきは、テキサスで竜巻を引き起こすか
……
もし…
私の決断がほんの少しでも早ければ。
私の起こす風があなたにぶつかれば。
あなたは竜巻に乗って、救われていたの?
頬を撫でるような風が、心地よかった。
自転車に乗って
君に会いに行くんだ!
映画を見ようって!2人で相談して決めたんだ!
誘ってくれた!嬉しかった!
自転車に乗って!電車に乗って!待ち合わせの金の時計に!
とっても面白い映画だった!
美味しくて楽しいランチだった!
戸惑って新鮮なプリクラを撮った!
電車に乗って!自転車に乗って!君と帰った!
『楽しかった!誘ってくれてありがとう!またどこか行こうね!!』
『こちらこそ楽しかった!ありがとう!』
初めて君と2人で遊んだ!
初めて誰かとの映画を楽しいと思えた!
初めて帰りの時間が心地よかった!
楽しかったんだ!楽しかったんだ!僕は楽しかった!!
だからどうかお願い!
またねって言ってよ