「手紙の行方」
ずっと記憶に残っている手紙がある。それは転校してしまった子に送る為の物だった。
どこかに彼女から送られてきた年賀状があって、そこから住所を見つけるんだ……目を光らせて探したものの、年賀状は見つからなかった。
確か、記憶上だとその手紙に電話番号やらアカウント名とかなんやら……かなり個人情報を書いていた。
今はその手紙も年賀状もどこにあるのかは分からない。もしかしたら幻だったかもしれない。……なんてね
「輝き」
私なんか……私なんか……って言っている人ほど私の目には輝きを纏っているように見える。
なんでそんなに最高のパワーを持っているのに威張らないんだろう。最高の親友だと思うのに、なんで君は親友じゃないと言い張っちゃうの?
私にはその隠せない輝きが見えているのだから。もっと威張ってほしいものだ。
「時間よ止まれ」
今のクラスは正直言って最高だ。テストの平均点は学年でどれも一位をとる。合唱コンクールではその学年で金賞、オマケに指揮者賞と伴奏者賞を全部奪ってきたのだ。
それは担任の熱意のお陰でもある。担任があの時生徒全員に強く叱りつけてなければ金賞も取れなかっただろう。
……そんなクラスもそろそろ終わりに近付いてきた。平均点一位を取って担任と一緒にパーティーをした時間も、みんなで金賞を取って喜びあった事も……全てもう味わえなくなってしまうのだ。
次の学年の時も同じメンバーで……いや、この時間が止まってしまえばいいのに。
____時間よ止まれ……ってね
「君の声がする」
人というのは、相手の顔が思い出せなくなるよりも先に声を忘れてしまうらしい。
転校してしまって会えなくなった友達にとあるアプリのアカウントを教えてもらった。
その子は滅多に投稿しないが、投稿しているのを見るとあっちでも仲良く出来てるんだと安心するのと同時に嫉妬心が着いてくる。
投稿されている物をみると、ノイズやフィルターがかかったようなその子の声が聞こえるような気がした。長年会っていないから、私は声を忘れてきているのだろう。
昔遊んだ記憶からその子の声を思い出しているだけで今は違う声質なのかもしれない。
____久しぶりに遊びたいな
「ありがとう」
クラスメイトになにか軽くお礼を言う時はありがとうではなく、てんきゅーと言っている。
咄嗟にそれが口に出てしまうというのもあるが、親しみやすさが一番である。
でも、私はてんきゅーでは済まされないほどの事を友達やクラスメイトにしてもらっている。
だからこそ、ありがとうと言ってやりたい。