「やさしくしないで」
私は他の人がなんともない事で泣き出してしまう。それが私に対する話じゃなくても。
この前、私はリーダーとして選ばれてクラスを引っ張っていく事になった。
先生からの指摘とクラスメイトのざわめき……全てが私に対する愚痴にしか聞こえなくなって、耐えきれずに泣き出してしまったのである。
泣いている私をみて皆が近寄ってくる(特に女子)。
「大丈夫よ悪いのは男子なんだから、悪くないよ」
「私達が悪いから気にしないで」
慰め方や励まし方は違うが、どれも彼女達なりの優しさが込められている。
お願いだから私に優しくしないでおくれ。慰められるとその優しさで更に泣いてしまうのだから。
「隠された手紙」
小学校生活が終わり、中学生に上がろうとしていたときことだ。
ランドセルの中を漁っていると小さな紙の感触がした。取り出して見ると二回に折り曲げられていた。
「……こんなの入れたっけ」
開いてみるとあの頃の私の字で「いっしょう友だちけん」と書いてあった。多分、「一生友達券」なのだろう。
下にはその契約を結んだ友達の名前が書いてある。「(私)と(友達)」と、薄れているが確かに書いてある。
これをずっとランドセルの中にお守りとして入れていたのだろうか。
この友達とずっと仲良くしていきたいと強く願ったのだった。
「バイバイ」
……祖父と最後に会ったのはいつだっただろうか。
正直に言ってしまうと私は祖父が好きではなかった。大きい声で話さないと聞こえないから対応するのがめんどくさかったのだった。
実家に来ては、ずっとスクリーンを下にスワイプして面白くもないサイトを家に帰るまでの暇つぶしとして見ていた。
「バイバイ」……これが最後の会話だった。
あんなにめんどくさかったと思っていたのに本当に「バイバイ」されると泣いてしまう。
冷たくあしらってしまった後悔はずっと心の中で住み着いている。
……もっと話すべきだったな。……今更遅いけども
「旅の途中」
私は学生である。だから人生という旅の途中ともいえない最序盤にいるのだ。
この旅の間に気軽に話せる友達も出来て、ネットでも友達が出来て、好きなものを見つけて……
まだ学生だというのにこんなにも宝物を見つけている。
この旅の終点に辿り着く頃にはこの宝物がどれくらい残っているのだろうか。
私はこの宝物達を抱きしめて砂嵐を歩いているのだから。
いつかこの長い砂嵐は去っていくだろう。その日まで頑張れ、私。
「まだ知らない君」
そういえば、私は友達の裏の顔や本心を知っているのに、私はそういうのを友達に言った事はない。
……だって、言ってしまえば君は引いてしまうだろうから。
だって、貴方は本当の「優しさ」で行動しているのに私は「偽善」で行動しているのだから。嫉妬が沢山渦巻いている私の心の中を暴かれては困るのだ。
どす黒い感情が渦巻いているって言ってしまえば君は多分離れてしまう。
私の裏の事をまだ知らないであろう君(友達)へ、ずっとこのままでいて欲しいな。私の気持ちを知らないでいてね。