胸の鼓動
目の前に
大きいゴキブリがいた
食器を洗おうとしたその時
水道の近くに、
奴はとまっていた
数分後、
目的地を変えたのだろう
私の嫌いなそいつは
羽音をたてて
目の前を飛んで行った
かすらなかっただけ幸運といえよう。
ただその時私は確かに察したのだ。
無理だ、
こいつには敵わないと。
なぜなら私は
奴のことが
ものすごく、嫌いだから。
私には
基本、
あまり凄く嫌いなものは無い
(食べ物はある(きのこ類、筍、ゴーヤ))
だが、
虫だけは、
どうも好きになれないのである。
私にとって、
幼い頃から
虫は
私をいつまでも冷やかしてくる
未来永劫
恐ろしいものなのだ。
きっと、この先も
好きにはなれない。
慣れることもないだろう。
いいや、慣れなくていい。
慣れる必要もない。
9.08
踊るように
まるで私たちは
操られ
舞い踊る
マリオネットのようだ。
意志の欠片もないかのように
軽くあしらわれ
ある人からは
蔑まれ
時間が経てば経つほど
傷んでゆくこの体。
それでも
"痛み"は感じない。
けれどあなたの笑顔が見れる。
永遠と踊らされ、
どれだけ踊り疲れても、
終わる事の無い私達の祝宴。
の、はずだった。
あなたの成長とともに
私の存在は
消えていった。
私の
この痛んだ布切れも、
少しはあなたの笑顔に
なったのだろうか。
そんなことを
知る由もなく
またも
私は冷たい退屈な箱に
閉じ込められ、
闇深くを彷徨う
あなたがまた、
あなたの子に
大切な記憶(私)を手渡すその日まで…
9.07
貝殻
頬を撫ぜる海風
潮の香り
澄み渡るほど青々とした海には
今日も
ゆらゆらと流れるまま
貝殻が集う。
海にたゆたう彼らは
一体
その目で
何を見てきたのだろう…?
9.05
きらめき
一生懸命頑張る人はとてもかっこいい。
誰から見ても
「応援したい」
そう思わせるような輝かしさがある。
努力する人は
ダイヤの原石だ。
磨けば磨くほど
輝きを増していき、
最後には
眩しくて、
目が眩んでしまうほどの
宝石になる。
その輝きが
どれだけ疎ましくとも、
どれだけ妬ましくとも、
それがその人の
誇るべき価値なのだ。
9.04