義理の姉が突然姪っ子を置いて失踪した。
そのため、姪っ子が実家にやってきた。
父と母は仕事で面倒が見れないため
私が毎日面倒を見ていた。
彼女の笑顔を私は見た事がない。
彼女は3歳で父親(私の兄)を亡くしてしまった。
義理の姉もホストにハマってしまい
実の娘にはご飯も与えなかった。
イブの夜、私は姪の好きなハンバーグを作った。
気づいたら、姪の好きなものばかり用意していた。
家族全員で夕食を食べているとき
少し嬉しそうに沢山食べてくれていた。
夕食も食べ終わり、お風呂場で
暖かい湯船に浸かっている最中
姪っ子にサンタさんに何を頼むのか聞いた。
姪っ子は笑顔で答えた。
「おばさんにママになって欲しいって願うの!」
その言葉を聞いて私は涙がこぼれそうになった。
これからは、彼女の母親として
生きていくそう決めた。
私の大切な娘_
クリスマスの贈り物
そっと置かれた赤い箱
中身は何だろう、星のように輝く
開ける前からわかる気がする
それはきっと、君の微笑み
包み紙よりも暖かい
リボンよりも結ばれた思い
手の中に残るのはただの空気
だけど心は満たされる
クリスマスの夜、贈り物とは
物じゃなくて、愛の形
ゆずの香り
冷たい風が頬をなでる
冬の朝、静かな光が射し込む頃
小さな手のひらで包んだ
鮮やかな黄色の果実
そっと鼻先をかすめる
甘酸っぱくも優しいその香り
記憶の奥にしまわれた
懐かしいぬくもりを呼び覚ます
湯気立つ湯船に浮かべられ
広がるゆずの香りの輪
心の芯まで染み渡る
ひとときの安らぎ、幸せの影
この香りは約束のよう
季節が巡っても消えないもの
思い出の中でそっと揺れる
優しさと共に生き続ける
ゆずの香りに包まれて
明日へ歩む道を照らしていく
いつか誰かの心にも
同じ温もりを届けるように。
大空に消ゆる恋
彼と交わした夏の約束。
どこまでも一緒に飛び立とう、と。
けれど彼の手はそっと離れ、
声も、笑顔も、風に溶けていった。
広がる空を見上げるたび、
彼の面影を探してしまう。
届かないと知りながらも、
風の中に残る温もりを追いかけて、
私は儚い夢にすがる。
たとえ遠く離れても、この大空が
私たちを繋いでいると信じて。
鐘の音
霧の中で響くベルの音
遠く、かすかに揺れる調べ
冷えた指先に触れるたび
消えゆく白い吐息のように
誰かを呼ぶその声は
届くことなく霧へ溶ける
音が消えた後に残るのは
静寂と、一瞬の夢だけ。