―安心と不安―
大切なあなたへ
あなたといると、私はとても、
幸せな気分になれる
隣にいてくれてるってだけで、
言いようもないほど安心できる
一緒にいる時間が長いほど、
ずっと一緒にいたいって思える
あぁ、今までの幸せは、
幸せじゃなかったんだなって、
思えるくらい、今が幸せなの
この幸せは、
あなたが作り出してくれたものなんだ
って思うと、あなたが大事でたまらない
私は、不器用すぎるから、
ついつい心無いことを言ってしまったり、
言葉が鋭かったりもするんだけど、
あなたには感謝しかないなって
毎日のように思ってる
ほんとのことだからね?
でもね、
あなたとずっと一緒にいたいって思う度に、
こうも思う
ずっと一緒にはいられない
いつか別れがやってくる
ぴったり2年後なのかもしれないし、
もっと長くいられるかもしれない
でも、もしかしたら、
明日で終わりになるかもしれない
そう思うと、すごく、
不安で不安で仕方なくなるの
あぁ、あなたが突然いなくなってしまったら、
どうしようって
この世界には、別れを避ける方法なんて、
今のところないでしょう?
だから、やっぱり、
いつかはさよならなんだなって
でも、どんなに、不安になっても、
途方に暮れても、
あなたがそばにいてくれる
それだけで、また安心できてしまう
つくづく、不思議なことよね
あなたは私に安心と不安をくれる
でも、不安は拭い取ってくれる
だから、あなたの周りにはいつも、
幸せが満ちているのね
―逆光―
彼女は、
人の道を踏み外していた私を
救ってくれた
私に正気を取り戻させ、
荒れ狂っていた頃の面影も無くしてみせた
云わば私の恩人だ
酔狂人だった私に手を差し伸べた彼女の姿は
今でも脳に焼き付いている
太陽を背に、私と目線を合わせた彼女は
美しいとしか言い表せなくて
当時の私には眩しすぎた陽の光を遮り
逆光に背中を照らされて微笑む姿は、
とても神秘的で
私の目には、女神のように映っていた
―こんな夢を見た―
塾の帰り道、信号待ちをしていたら、
丁度道を曲がるところだったトラックの
死角だったらしく、前輪に撥ねられた
こんな夢を見た
起きたら威圧感のあるカーテンに
囲まれた白いベッドに横たわっていた
しばらく、夢の内容を思い返して、
ぼーっとしていた
何十分、いや、
もしかしたら1時間経ったかという頃、
シャッと開かれたカーテンの隙間から
看護師らしき人が来て、
健康状態やらなんやらを聞かれた
答えれる範囲の質問に答えていき、
看護師さんの質問が途絶えたところで
ポカンとしていると、何を思ったのか、
「ところで、
事故についてのことは覚えてますか?」
と聞いてきた
『…なんのことですか…?』
看護師がそんなことを聞いてくる
ということは、
その事件とやらのせいなんだろう
病室みたいなところに寝かされてるのは
特に身に覚えはない…
その時に、夢の内容がフラッシュバックした
「覚えていないみたいですね
…んー、話しておきましょうか
実はですね、」
それから、看護師さんに事件の話を聞いた
信号待ちをしていたところ、
丁度道を曲がるところだったトラックの
死角に入っていたせいで前輪に撥ねられ、
救急車で運ばれたそうだ
『え…』
―タイムマシーン―
もし、
タイムマシーンが使えたら
過去に戻って、過去の自分に言ってあげたい
『大丈夫、辛いこともあると思うけど
必ず報われるし、未来はもっと楽しいから
諦めちゃだめだよ、頑張れ』って
未来に行って、未来の自分に言ってあげたい
『どんなことがあるか分からないけど、
どんなことだって乗り越えてきたんだから、
何があっても大丈夫だよ』って
自分で自分を励まして
自分で自分を大切に
そんな、強くてかっこいい人になりたい
―特別な夜―
いつもと違う、特別な夜
太陽も月も星も、
花も虫も動物も、
みんなみんな、起きていられる
いつもは早寝早起きのお婆さんも、
いつもは寝る時間の良い子たちも、
みんなみんな、夜を楽しむ
争いあってた人たちも、
今宵だけは仲直りして
机に向かって己と戦う人たちも、
今宵だけは、それも忘れて
大事な人と好きなように過ごす
みんな、昔から友達だったみたいに、仲良く
ほら、向こうで
草花が楽しそうに笑いあってる
ほら、あっちで
ライオンとシマウマが肩を組んでる
ほら、あそこで
星が踊って、太陽と月も楽しそうに揺れてる
ほら、私たちも行かなきゃ
今宵だけは、みんな幸せ
そう、今宵は百万年に一度特別な夜