『列車に乗って』
今日、初めて列車に乗る。
この後、どんな美しい景色や、どんな人達が居るんだろう。
そう、胸を躍らせながら席に座り、発車を待つ。
この先、トラブルがあるかもしれない。もう帰りたいと思う事も山ほどあるだろう。
だけど、そんな思いをしてでも列車に乗りたいと思った。
まだ見ぬ世界を夢見て、列車が発車した。
『遠くの街へ』
今日の天気は雨。それも豪雨だ。
まるで今の俺の心を表したかの様な天気だ。
明日、幼馴染の日和が転校する。父親の会社の都合らしい。
今までは隣の家だったのに、明日からは電車で何時間もかかる場所に行くらしい。
それを知らされた時、とても辛かった。俺たちは仲が良かったから。
でも、その日和とも明日、別れる。
とても悲しいし、ここに居て欲しいと言いたいけど、言えない。
多分、日和も同じだと思うから。
だから、俺は受け入れる。どれだけ時間がかかっても。
だから、この気持ちも閉まっておこう。俺の心の中に。
この気持ちを打ち明けてしまったら、多分泣かせてしまう事になる。俺も泣いてしまうだろう。
でも今、この部屋には誰も居ない。だから、誰にも聞かれない今、吐き出しておこう。
ずっと好きだった、日和。愛してる。
今、この天気なら、泣いても良いかな?
だって絶好のタイミングだよ、日和。
『現実逃避』
明後日からテストが始まる。
勉強をしなければならない、それは分かっている。
でも面倒くさい、やりたくない、そんな思いが先行する。
よし、ゲームをしよう。勉強は明日やれば良いや。
そしてテストが返された後、俺は補修の為に休みの日にも学校に行くことになる。
『君は今』
天国と地獄はあるのだろうか。
よく死んだ後に善い行いを多くした人は天国、犯罪などの悪い事をした人は地獄に行くと言われている。
それが嘘か真実かを知る事が出来るのは死ぬか、それとも神様と言う存在くらいだろう。
君は今、どうしているのだろうか。
君が病気にかかり、余命を告げられ、そして逝ってしまった。
君が亡くなって、私は君と同じ所に行こうと考えた事もある。
だけど君は最期に私に言った。『あなたには生きて欲しい』と。『一緒にこっちに来たら駄目よ?』と。
多分、分かっていたんだろう。君が亡くなったら、私がどうするかを。
だから最初に釘を刺しておいたんだろう。
だから、私は今を必死に生きている。
恋愛はもうする気は無いが、今でも充分幸せだ。
君は今、どこで何をしているんだろう。
君に会えるのは、もう少し先になりそうだ。
好きだった彼女と別れた。
ずっと浮気されていたらしい。
街で男と歩いている所を偶然見つけ、問い詰めたら
『だってあんた嫌いなんだもん。貢いでくれるからしょうがなく付き合ってあげてたけどさ〜』と言われ振られた。
天気は生憎の雨。まるで俺に追い討ちをかけるかのように体に雨が当たり、体温を奪っていく。
立ち止まり、上を見上げて曇り空を眺める。
そして、涙が出て来た。
好きだった。愛していた。学生の頃から片想いをしていて、告白して、やっと付き合えたのに。
物憂げな空の中、俺は1人泣いた。