手を繋いで帰る夕暮れ。
オレンジのような酸っぱさが僕達を包んでいる。
楽しかったのも束の間。
「もう帰るのが寂しいな」
[やっぱ、そうだよね]
「帰りたくないな」
[じゃあ、もう少し貴方のそばに居ていい?]
え?
彼女は頬を赤らめ僕の腕をつかむ。
止まってしまえ、夕暮れよ。
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どこ?
水槽の中で苦しむ顔をガラス越しに見た。
暗いようで眩しいそこは私の知らない場所。
上を見上げると、
大きな青い物体が触手を伸ばしている。
ガラス越しに見える人影は不敵な笑みを浮かべている。
どうせ、毒だろうよ。
私は覚悟を決め触手にしがみついた。
「ごぼ、ごぼ。」
肺から、空気がなくなる。
「かひゅ、かひゅ。」
目の前が暗くなる。
死ぬのか、なんて考えてても始まらない。
必死でもがき、哀れな姿を晒した。
[なんて不格好で美しいんだ!!]
知らない男の声。
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大好き。
大好きだよ。
ずーと大好きだからね。
私の一番の親友。
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叶わぬ夢。
そんなのないよ
私は山羊の番人。
私は思う。
夢は叶えるためにあるものよ
番人は皆の守り神。
同じ番人の人もいれば、
違う番人を選んだ人もいる。
夢まで、無傷で進める保証はない。
そんなのどうでもいい
夢の次にも夢を持てばいい。
叶えられない夢はないよ
❦❦
花の香りと共に私の夜は始まる。
大きなカラダに抱かれ、煙草の匂いを纏う。
何かで心を埋めていたいの。
ただ、ゲルトを受け取るまでなのよね。
貰えば、はい、おしまい。
最初は嬉しかったわ。
でも、そんなの飽きちゃった。
より、こいものを求め、刺激を求め、
カラダなんて気にしてる場合ではないわ。
埋まればいいのよ、心がね。
そんな、なんとなくの、どうでもいいゾクゾク、
楽しすぎる海の中
彼は何処に彷徨ってるのかしら?
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