紅茶の香りがふわりと部屋に広がった。
外の景色は雨がちで、気分が下がる。
「うち、紅茶苦手なんやけど」
『まぁ、そんなこと仰らないで桜川様』
「はぁ、飲めばいいんでしょ」
この紅茶には独特の風味がある。
苦いというか、ズキと心を抉るような
一言で美味しいと言い表すことは叶わない。
すっと飲み干すと、何だか眠くなってきた。
コトンと眠りに落ちた…様に見せた。
彼奴等のやり方はもう知っている。
何度も同じ手に乗ると想うな、馬鹿。
あぁ、あの人も同じ目に遭ってるに違いない。
空は深みを増すばかり。
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愛言葉。
貴方が名前を呼んでくれるまで、私死ねません。
貴方が名前を呼んでくれるまで、私頑張ります。
貴方のために、あんなに尽くしたのに、
なんでそんなに私を痛めつけるのか、
私には分からない。
愛の言葉はいりません。
認められるその日まで。
身を粉にして心おも削り私、私、苦しくても。
私は死ねない。
誰か誰かが私を殺してくれるまで
私は生きます。生きてみます。
愛言葉。
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声が枯れるまで歌い続けるのは貴方だけのためじゃない
その言葉は少しチクンと心を刺した。
でも、本当は、本当の心は、そんなこと思わない。
誰が決めたのか?
知らない。
知らない夜のリリィ
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始まりはいつも雨の中だけど、洗い流して綺麗になる。
好きな歌の中の歌詞。
私の始まりはいつも雨の日、
幼稚園の入園式も
小学校の入学式も
中学校の入学式も
高校の入学式も
大学も雨だった。
雨の中でも楽しい私。
不幸な事は全部雨で流す。
キラキラ光る雨粒はパチンと跳ねて心に届く。
始まりはいつも雨の中だけど洗い流して綺麗になる。
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すれ違い 忘れ 思い 蔑む。
すれ違い 忘れ 思い 蔑む。
すれ違い ずれ 切れ 慎む。
すれ違い ずれ 切れ 慎む。
最後の夜に、最後の準備。
最後の準備は、最後の夜に。
すれ違い、すれ違い、すれ違い、
思い出し、思い出されて、思い出す。
「あの、これ落としましたよ。」
『あぁ、有り難う御座います。』
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