紅茶の香りがふわりと部屋に広がった。
外の景色は雨がちで、気分が下がる。
「うち、紅茶苦手なんやけど」
『まぁ、そんなこと仰らないで桜川様』
「はぁ、飲めばいいんでしょ」
この紅茶には独特の風味がある。
苦いというか、ズキと心を抉るような
一言で美味しいと言い表すことは叶わない。
すっと飲み干すと、何だか眠くなってきた。
コトンと眠りに落ちた…様に見せた。
彼奴等のやり方はもう知っている。
何度も同じ手に乗ると想うな、馬鹿。
あぁ、あの人も同じ目に遭ってるに違いない。
空は深みを増すばかり。
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10/28/2024, 8:37:55 AM