【風と】
大地を踏みゆく
密かな影の集団は
何かを求めて突き進む
それが何なのか分からないまま
そんな姿に感化された者も
同じように足並み揃える
理由を問えば
誰かが口を開いた
「風と共に巡りゆく
いつか出会う何かを求めて
進んで行くのが
我らの使命なのである」と
そう言い残し
また足を進めるのだった
【軌跡】
いいのですよ、それで
貴方の好きなようにすればいい
私は信じているのですよ
貴方の努力は尊いものでしたから
あなたの軌跡は
そんなにも脆いものですか?
立ち止まっていても
何も始まりませんからね
進んでいかなくては
いけないのですよ
前だけを向く貴方は
時に孤独を感じるでしょう
でも、大丈夫ですよ
後ろには
私がいますので
【物語の始まり】
産まれ落ちた者は
言葉を受け取るのだ
それが強い軸となり
全てを作り上げる
言霊の力は偉大なのだ
だから神は皆に授ける
「愛おしい者たちよ
どうか幸せになっておくれ」
物語の始まりから終わりまで
自分らしく突き進めるように
捧げましょう
大切なあなたに
祝福の祈りを
【好きだよ】
「自分の事が嫌いなの?」
「私は私の事が好きだよ
本当に嫌いな物に費やす時間はないわ」
「でも君は自分の事を卑下している」
「そりゃ、世界で一番大好きな私には
幸せになってもらわなくちゃダメだもの」
「変わってるね」
「そう?好きの反対は無関心
なんて言われているけれど私は違うと思うの」
「それはどうして?」
「だって私はあなたに無関心だから
好きと嫌いが混ざり合った時
無関心と言う感情が生まれる
私はそうだった」
「君は僕が嫌いなのかい?」
「あなたまるでグリーンベルね
嫌いだけれど憎らしいほど愛おしい」
【桜】
誰もが羨む美しい姿
昨日まではそうだった
散ってしまえばもう終わり
私の命の灯火尽きるまで
見下されるこの気持ち
あなた達には分からないでしょう
これは私達「桜」の人生
花の寿命はとても短い
私達を踏みつけても
何も感じていないよう
人間が憎らしい
屍の上で娯楽を生み出す
私達のようなものには
価値がないのでしょうね