友達に押されて、今好きな人と二人で帰ってる。
気まずすぎて会話がほぼない。
「ねぇ」
君が話しかけてきた。驚いて、心臓が飛び跳ねる。
「…いや、今日なんで誘ってきたのかなって」
「えーっと…」
緊張したけど、言葉は案外すっと出てきた。
「一緒に、帰りたかったから。それだけ」
君はフッと口角を緩める。私もつられて笑う。
「よかった、同じこと思ってた」
まだ雪が積もってる道を二人で足跡をつけて歩く。
周りは、誰もいなかった。
『二人ぼっち』
「久しぶり」
夢で会ったのは、五年前まで付き合ってた元彼だった。
「…久しぶり」
気まずい別れ方だった。だからこんな挨拶しかできない。
勇気を振り絞って聞いてみる。
「今更、なんですか」
彼は、目を伏せるようにして応える。
「待ってるから。それだけ」
そこで目が醒めた。
ここで予知夢は本当にあることを知る。
寝てる間に、元彼から「会いたい」とメッセージが来ていた。
『夢が醒める前に』
君は私を振った。
こんなに努力したのに。
こんなに可愛くなったのに。
私の努力を「ごめん」の三文字で返すなんて、いくらなんでも不条理すぎる。
『不条理』
「ずっと隣にいさせて」
プロポーズされた時、彼はそう言った。
でも、彼はその約束を破った。
「なんで?」
泣きながらそう訴えても、彼は何も反応してくれない。
もう、君の隣でココアを飲めない。
もう、車で彼の歌声を聴くことはできない。
「お願い、戻ってきてよ」
涙で視界が滲む。
事故で突然亡くなった、彼の遺影を抱きしめた。
『ずっと隣で』
告白をオッケーされた時、私は『この人の事をもっと知りたい!』と思った。
でも、彼はそうじゃなかった。
質問はしないで、私の話を聞くだけで、自分の事は何ひとつ口にしない。
「ごめん、別れよう」
「え、なんで?」
「疲れちゃったから」
そう言いながら、一筋の涙を流す。
君の事を知りたいと思ったのは、私だけだったみたい。
『もっと知りたい』