『ルール』
空想して遊ぼうとすると、思い付く風景というのが
四方地平線まで草しかない草原に、彼方へ続く細い一本道があり、その傍らに、私は倒れている。
カバンを所持していたので、どういう状況か分かるかと開けて中を見ると、簡単な地図があり、この先道を進むと、小屋があるらしい。
そこへ行くとどうなるのか不明だが、ここでこうしていても始まらない、草しか無いから。
私が空想しているんだし、私が次の展開を考えればいいのだが、考えているというより、既にあるはずの展開を眺めている感覚なので、何も思い付かなければ、そこで止まる。
一本道を歩いて行くと、道の側に長細い小屋が見えてきた。近寄って見ると田舎の木造の駅の待合室のような建物だ。中に入る。誰もいない。殺風景な部屋。椅子に座る。
そこで、また止まる。
それでも次の展開を考える気にはなれない。どこかの別世界で実際に起こっていることなのだが、どうも時間の感覚がこちらと違うので、先に進むのが遅いだけなのだ。
たぶん、死後に私が行く世界なんだと思う。予告編なり、事前説明だと思う。あるいは、早めに始まっている。
それで、ここで何をどうすればいいのか、相変わらず分からない。
『今日の心模様』
夜寝る時、布団に入ってるうちに眠くなって眠るまでの1~3時間が、私の本当の1日なの。スマホ見たり、なんか読んだり、空想の世界に行ったり、駄目だ眠い。朝四時過ぎなので寝なければ。
『何もいらない』
半額だってだけで つい、いらない物まで買ってしまう。半額はみんな、好きなはず。
半額だったから、思わず家を買っちゃったの。後で分かったんだけど、家の半分だけだったの。間取り図の真ん中で区切ってあるの。
トイレとお風呂がもう半分にあって、私の家には無くて。あなた、もう半分、買わない?
台所とベランダ、私の家にあるから、いつでも遊びに来て、いいからさ。いらない? 半額だよ?
「半額って言っても、家の半分だけなら、それが適正価格なんじゃないの?」と、あなたが言った。
…いや、そうじゃないよ、元が、高いんだよ。
「家の適正価格なんて素人に分からないし、元の値段が高過ぎなのかもよ。半額ってだけで飛び付いて買う人がいるんだから、売る方も笑いが止まらないよね」と、あなたは笑った。
…そう、いらないのね。
半額弁当買ってきてやけ食いしよ。
家はともかく、私のこと、いらないらしいので。
『もしも未来を見れるなら』
お握りを10個作ったの。外から具が何なのかは分からなくしておいて、一つだけにチョコレートと苺を入れておいたの。
あなたに「お昼のお弁当に5個 づつよ。何が入っているかは食べてのお楽しみよ!」と言ってタッパーに入れて持たせたの。そして、それぞれの職場に出掛けたの。
そしたらその日は暑くなって来たの。チョコが溶けたのー。 私に当たったんだ、よかった、あなたじゃなくて。
しょうがないからチョコレートお握り食べたけど、和菓子だってお米から出来てるんだし、これだって美味しいんだよ、ただ、他のお握りもチョコまみれだけど、自分の責任なので、食べましたよ。
と、昼休みにあなたにメールしたら、返ってきた返事が『お握りって温かいご飯で作るんだから作ってる途中で気が付くでしょ、溶けるって』
そうだよ。作り話だよ。面白いと思ったんだよ。でも、どうするんだよ、これ。ツメが甘かった。
『いや、あの、ホントに作ったんだよ、ただ、あの…』あなたも存在しない。
『無色の世界』
部屋の物を全部 白黒灰色に してみた
出来るだけ周囲の無駄なものを排除したかった
この部屋の空間で 唯一私の身体だけに
色がついている 不思議な
空間と私が 乖離 している
自分が、別世界に来たような気がしてきた
それでも カーテンを開ければ このとうり
いつもの近所の町並みが ある
はず だったのに
外の景色、白黒じゃないですか!?
私の、身体も!!
ただでさえ 灰色の気分なのに
見るもの全てが、神経に障るのよ
白黒灰色も、色だよね?
もっと 無色透明に しなければ
無色透明に、しなければ。