あいつの店はいつ来てもごちゃごちゃしている。
鑑定士をしているらしいのでアンティーク調の物が多いのもよく分かる。
、、、しかし流石にまとまりがなさすぎる。
「ご来店ありがとうございます〜」
「よぉ、準備できたか?」
「あ。」「あ?」
「忘れてました☆」「早く準備しろ」
「はーい」
今日は星を見に行くらしい。
「懐中電灯かなんか持ってます?」
「あー、、ねぇわ」
「じゃあランタン持ってきますね」
あいつが持ってきたランタンには蝋燭がなかった。
代わりにピンポン玉のような球が入っていた。
「これどうやって火つけんの」
「貸してください」
そう言うといとも簡単に火をつけた。
それは火、というよりかは惑星のようなものだった。
「これは持ち主の記憶を使ってこの球に輝きを与えるランタンなんですよ」
「なんだそれ」と言いつつ、こいつが俺の記憶をなくしたのはこれのせいかな。
と考えざるを得なかった。
↓
あと星は綺麗だった。
深夜二時、誰かの家の屋根の上。
任務終わりの二人の会話。
「月に行きたい!って思ったことありません?」
「は?ねぇけど。」
急に始まるいつもの会話。
その日は満月だった。
二回目の初めましてのときから早二年。
ウィステリアの髪も珍しいものじゃなくなった。
「そうですか~、残念!」
そう言うこいつの横顔は月に照らされていて。
宝石のように綺麗で少し恨めしくなった。
東のある春の日。
桜の木の下に影がひとつ。
「こんな平和やったらヒーローもお役御免かなぁ。」
あ、ええこと思いついた、そう呟いて連絡を取る。
「みんなすぐ着くやろうしはやめに行っとこ。」
そういって彼がいなくなった木漏れ日には季節外れの金木犀の香りが漂っていた。
知り合ったとき、最初の言葉は
「始めまして。おれの名前は、、、」
そこから数年、卒業するとき交わした約束。
【ぜったいわすれない。】
再開したとき、口を開いた。
発言は?
『始めまして。俺の名前は、、、』
別人のお前はすべて忘れてしまったかのように微笑んだ。