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1/17/2026, 12:36:00 PM

木枯らし(オリジナル)

僕は泣きながら歩いていた。
学校で友達と喧嘩した。
彼が僕のシャツに油性ペンで落書きをして嗤ったので怒ったら、そんなに怒る事ないだろと逆ギレされ、絶交された。
彼とは一年生の頃から仲良くしていて、唯一と言って良い友達だった。絶交が悲しかったし、イタズラされたシャツを母に心配されるのも嫌だった。
悲しくて苦しくて、僕は家に帰りたくなくて、泣きながら家までの道をノロノロと歩いていた。
すると突然目の前に、編笠を被ってマントを翻した同い年くらいの背の低い少年が現れた。
何のコスプレだろう。
見たことのない少年だ。
僕は少し驚いて、涙が引っ込んだ。
「君は何で泣いているの?」
その少年は、編笠の下から上目遣いに尋ねてきた。
「これ。イタズラされて。お母さんに悪いことしたなって」
服もそんなに数はないのだ。油性ペンだと洗っても消えないだろう。僕はまた悲しくなって涙が溢れた。
「そうか。うん、まぁ、格好良くできるかな?」
彼はそんなことを言う。
「え?」
「ちょっと貸してくれるかい?」
彼は僕の上着を預かると、どこから取り出したのか油性ペンの蓋をキュポンと開けた。
そして、いたずら書きの上に、さらにペンを走らせた。
「えええっ?!!あっ!ひど…」
ヒドイ、と言って止めようとしたのだが、徐々に落書きが格好良い虎の絵に生まれ変わっていった。
「すごい!」
僕は思わず手を叩く。
彼は描き終えるとニコッと笑い、
「気に入らなかったらお母さんにアップリケでもつけてもらうといい」
と言った。
僕は嬉しくなって、彼の手を取った。
「すごく格好良いよ!ありがとう!」
ブンブンと手を上下に振った。彼は僕の勢いにガクガク振り回されながら、
「お友達くんもきっと反省してるよ」
「え?」
「明日、学校でいつも通り話しかけるといい」
と言ってくれた。
そうかな、そうだと良いな。
僕はほんの少しの勇気をもらって、ニッコリと微笑んだ。
彼からシャツを受け取って、着なおす。
母親に、今日素敵な出会いがあった事を話そう。
気分がウキウキしてきて、そういえば、名前を聞かなかったと思い出す。
どこの学校の、何年生だろう。
「君は」
被った上着から首を出すと、びゅうと木枯らしが吹いた。
「わ!」
落ち葉がびっくりするほどの量舞い上がり、両手で顔を庇っているうちに、少年の姿は消えていた。
夢だったのかと上着を見ると、虎柄が残っている。
神様だったのかもしれない。
僕は両手を口の横に添えて、どこに行ったかもわからない彼に届くよう、大声で叫んだ。
「ありがとーーー!」
心がぽかぽかと温かかった。

1/16/2026, 3:46:18 PM

美しい(914.6)

美人は3日で飽きるというが、嘘だと思う。
というのも、私の推しは美人(男)なのだが、ファンになって8年経った今でも、新鮮に「わっ!美人!」と驚く事があるからだ。
要因には、顔の角度、光の当て方、表情、目の輝きなど様々あるが、いずれにせよ、美人を再認識して惚れ直す瞬間が多々ある。
誰しも同じ経験はあると思う。
美しいは正義。


そういえば美人と聞いて思い出した事がある。
昔、友人と恋バナをしていた時のこと。
共通の友人を「美人系」と「可愛い系」に分類していたのだが、私の分類になった時、彼女が急に、それまで登場したこともない分類で「面白い系」と言ったのだった。
美人でも可愛くもないって事?!と地味にショックを受けつつ納得もして、何ならちょっと面白かった思い出。

1/15/2026, 12:53:07 PM

この世界は(オリジナル)

部屋で本を読んでいた。
窓やカーテンを閉め切っていたので、外の音はあまり聞こえないのだが、遠くでドーンという、大きな音がした。
地面が震え、窓ガラスがカタカタと揺れる。
少し気になったが振動は一瞬でおさまったので、気を取り直して本の続きを読んだ。
やがて、救急車や消防車のサイレンの音が聞こえてきた。やはり何かあったらしい。
とはいえ、音が遠かったので、私には関係ないと、また読書に戻る。
しばらくして、またドーンという音がして、照明がチカチカと点滅した。
ヒューヒューという音も近くに聞こえてくる。
私はついに気になって、カーテンを開けて外を見た。

「え?」

マンションの3階から見える外の世界が燃えていた。

ヒューという音とともに爆弾が投下され、ドーンという音とともに地面に衝突し、家々を粉砕。広範囲に火事を引き起こしていた。
人々が逃げ惑っている。
慌ててテレビをつけ、スマホのネットニュースを見たが、両方が同じ事を言っていた。

戦争が始まった、と。

「嘘でしょ…」

元々緊迫した関係にあるとは言われていたが、突然こうなる予測や注意喚起はあっただろうか。
私は唖然として、窓越しに爆撃の雨を見た。
スクリーン越しの戦争映画のようだった。

この世界は、夢?現実?

1/14/2026, 1:52:03 PM

どうして(オリジナル)

大きい荷物を両手で抱え、社内の狭い廊下をえっちらおっちら歩いている時だった。
後ろから若手の男性社員が、

「手伝いますよ」

と手を伸ばして、私の荷物を引き受けてくれた。
そして前を、スタスタと歩いていく。
彼は最近よくこうして荷物を運んでくれる。
私は横幅が広く、力もある女なので、こういう荷運びの時に誰も手伝ってくれない傾向にあったので、彼がこの廊下で会うたびにこうして助けてくれる事に、ときめきを感じていた。
今日、ついに勇気を出して聞いてみた。

「どうして手伝ってくれるの?」

彼は振り向いて目を丸くして、

「通路塞いでて通れないから」

ですよね。

1/13/2026, 12:52:35 PM

夢を見てたい(914.6)

自分の夢ではないが、夢を見てたいシチュエーションを考えてみた。

売れる芸能人になりたい。
けれど、マスコミに嗅ぎ回られたりアンチにたたかれたりはしたくない。

大金持ちになりたい。
けれど、遠い親類や反社の類に群がられたくない。

宝くじに当たって欲しい。
けれど、億単位で当たると命の危険を感じるから怖い。

憧れのあの人と結ばれたい。
けれど、相応しくないと周りからたたかれたり、付き合って幻滅されて、自身の性癖や悪口を広められたくはない。

結論「夢を見てたい」は、良い事だけ起こって欲しい、そうだったら良いなということ、あるいは、そうなった自分を妄想して楽しみたい、という事でしょうか。
すぐにマイナスの事を考えてしまうのは私の悪い癖。

私は何を夢見ていたいかなぁ。
相手のある夢はいつか覚めますからね。
夢は夢のままで。

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