寒さが身に染みて(914.6)
昨今のいじめ問題に心を痛めている。
私は子供の頃から先生側の人間で、親や先生から褒められたくて良い子をしていたと思う。
そういう意味で、先生の言う事を聞かない子や掃除をサボる子に怒っていた時期はある。徒党は組まなかったし、非力なので暴力を振るえるわけでもなく、いじめにはなっていないと思う。主観の問題だから「絶対」はないけれど、たぶん。
いじめられっ子や障害者のお世話もしていたけれど、彼らを可哀想と下に見ていた自分に気がついて、己が決して善意ばかりの人間ではないと知った時の絶望感といったらなかったけれど、今では気づけて良かったと思う。
当時から、子分扱いして盗みをさせる子とかいたけれど、本当にそういうのが嫌で仕方ない。
そういうものを、大人になって武勇伝として語る人達が嫌いで仕方ない。
暴力を是とし、それにヤジを飛ばして面白がるなど、人間性を疑ってしまう。
反省なんてしてないよね?
表面上謝って、未成年だから許されるって、後で笑うんだろう?
正義の方に味方が少なく、悪の側につく人間が多いのが本当に怖い。
警察が動いて罰せられたとしても、人格矯正がうまくいかず、出所後に逆恨みで復讐する未来しか見えない。
怖い。
どうしたら良いんだろう。
世の中の寒さが身に染みる、今日この頃。
20歳(オリジナル)
私は化粧が上手くない。
いつもファンデーションを塗って眉を整える程度だ。
なので、成人式で着物の着付けとともに髪をアップにし、化粧してもらうのを楽しみにしていた。
人生初のガッツリ化粧。
プロの化粧を今後の参考にしようと。
近所の美容院で全てやってもらったのだが、終わって鏡を見た瞬間、愕然とした。
何だこのおばさんは。
頭上にアップした髪は昭和のお団子のようだし、普段あげない前髪を上げたせいで、面長の顔が強調されていて茄子みたいだ。
濃い化粧も、太い眉が田舎者くさいし、一重の瞼に塗られたアイシャドウは目が腫れぼったく見えるし、チークは濃くて漫画か日本人形みたいだし、濃い口紅は唇をやたら浮き立たせているし。
自分が見慣れないだけで、これが普通なのだろうか?
これで成人式に出席したが、ショックな事に、友人達は誰も「似合わない化粧してるね」とか「いつもの方が良いね」とか、私が期待したような事は、何も言ってくれなかった。
自分は自分をそこそこ可愛いんじゃないかと思っていたのだが、そうでもないのだと初めて理解した20歳の出来事であった。
三日月(オリジナル)
私はよく見る悪夢がある。
複数人がこちらをじっと見ている。
顔は誰だかわからないけれど、三日月のような笑った形の口だけがやたら目立っていて。
その口が、私を嘲笑っているような気がするのだ。
毎回、とても嫌な気分で目が覚める。
心理学や夢判断では、周囲の目を気にしすぎるとか、そういう診断が出そうではある。
でも、それはそう。仕方がない。
子供が小さいうちは仕事の早退や中抜け、急な病気の休みなど、周囲に負担をかけている自覚があるので、どうしても他人の目を気にしてしまう。
しかし、その場合は三日月でもへの字の形になりそうなのに、なぜ嘲笑う形なのかはわからない。
「ママ、三日月」
隣から急に子供の声がして、私はハッと我に返った。
キッチンで夕飯を作っている最中であった。
隣には踏み台に乗った4歳の娘がいて、包丁を持った私の手元を見つめていた。
(三日月?)
ここから月でも見えたのかと窓を探して頭を回したが、娘は短い手指をギュッと伸ばし、私が刻んでいた野菜を手に取った。
「ほら、三日月!」
それは、くし切りにした玉ねぎであった。
さっきまで鬱々と反芻していた夢の三日月とのあまりのギャップに、思わず吹き出してしまう。
「ほんとだ、三日月だね」
「あっ!お口にっこりもおんなじー!」
両端を指でつまみ、娘は口に三日月玉ねぎを当てた。
意味は全くわからないが、楽しそうである。
微笑ましく眺めていたら、調子に乗って生玉ねぎを齧り、
「ゔー!にがい〜!」
と、すごい顔をしていた。
私の悪夢も、次から口がくし切り玉ねぎになれば良いな、と思うのであった。
色とりどり(914.6)
人には色のイメージがあると思う。
太陽のような人とか、大人っぽい人とか、性格に色を感じる事もあるし、いつも着ている服や身につけている小物の色がそのままイメージになる場合もある。
自分が何色に思われているか、いただくお花のカラーでわかるんじゃないかと思っています。
で、これまでもらったお花のカラー。
圧倒的ピンク率。
ピンク身につけないし、決して乙女ではないし、オシャレでもないし、全く女子女子してないし、自分では淡白でクールキメてると思っていたのですが。
毎回首を捻りながら、どこがピンクなんだ??と、納得いかない気持ちで受け取っています(笑)
皆様のお花カラーはどんなでしょうか。
雪(オリジナル)
冬の夜。
外をトボトボと歩いていた。
吐く息が白く、寒い。
公園を出てからずっと泣いていた。
涙で頬はバリバリだ。
深夜呼び出された公園で、彼氏に別れを告げられた。
25歳から13年、長く付き合っていて、このまま結婚するんだろうと思っていた。
しかし、彼は既婚者だった。
しかも、奥さんと別れる気は全くない。
裏切られたと思った。
私の13年を返して欲しい。
意気消沈する私の靴に、何かがふわりと落ちた。
見上げると、雪。
多量の雪が、ふわふわと降り始めていた。
天気予報では朝まで降ると言っていた。
私はキツく目を閉じ、顔に雪を浴びながら、天に祈った。
どうかこのまま降り続け、公園にある彼の遺体や私の痕跡を全て消してくれますように。