それでいい、という言葉はとても曖昧だ。
選択肢が少ない中で「もう」それでいい、という諦めのようなニュアンスなのか、あなたは今でも充分魅力的なのだから自信を持って、「今のまま」それでいい、という背中を押すニュアンスなのか。
言葉の前後と発した時の状況でかなり意味が違ってくる。更にこうして文字として目にした時と、言葉として耳にした時でも受け取り方は違ってくるだろう。
よくSNSユーザーは三行しか読めない、なんて言うけれど、だとしたら何も通じないんじゃないだろうか?
END
「それでいい」
ショッピングモールで買い物するの、大好きだけど1つだけ嫌なのは福引と見せかけてスマホの乗り換えキャンペーンに誘導するとこかな。
買い替え時だったから良かったけど、そうじゃなかったらキレてた。
こんな日常。
END
「1つだけ」
〝大切なものは目に見えない〟
どうしてそんな〝仕様〟にしたかって?
見えていたらきっと、すぐに奪い合うんじゃないかなって思ってさ。
君たちの強欲さと傲慢さ、そして身勝手さはよーく分かってるからねぇ。
だから、自分のためだけの唯一無二のものがあると分かって、それが他人にもあるんだと君たちが理解したらきっと、この星は良くなるんじゃないかと思ったけど··········。
どうやら君たちのデザイン、間違いだったみたいだねぇ。
星を見下ろす遥かな高みで、創造主はため息まじりにそう答えたのでした。
END
「大切なもの」
「今年は何も無いの?」
「何が?」
「エイプリルフール。毎年何か言ってからかってただろ、俺のこと」
「あー、うん。そうね」
「歯切れが悪いな」
「なんか、もういいかなって」
「どういう意味?」
「君が私の嘘に簡単に騙されてくれるの、可愛くて好きだけどなんか怖くなってきちゃって」
「怖い?」
「·····嘘から出た真実、って言葉があるでしょ? よく考えたら本当になったら怖いなって思って。それに·····言霊って、私はあると思うから」
「·····」
「君がエイプリルフールとかに関わらず嘘をつかないのは、言葉の重みを知ってるから、なんだね」
「ふん」
「わっ·····、なに?」
「十年以上付き合ってやっと分かったか」
「悪かったな」
「·····」
「いた、·····ちょ、っと、痛いよ·····」
「別れようとか、好きじゃなくなった、とか」
「·····?」
「嘘でも二度と言わないでくれ」
「·····」
「分かったよ。二度と言わない。ごめんね」
「·····」
駄々をこねる子供みたいにしがみつく腕の強さに、愛しさが込み上げてくる。
背中に走る痛みが、今は嬉しかった。
END
「エイプリルフール」
幸せになりたい。
何が幸せか分からないけど何となく幸せになりたい。
ただ漠然と、そう思う。
そこまで考えて、ぼんやりとそんなことを考えられる環境はもしかしてかなり幸せな方なんだろうな、と思った。
END
「幸せに」