せつか

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2/22/2026, 2:16:50 PM

太陽のような人。

大概は素敵な人、良い人のイメージで語られる。
あたたかくて、周りの人を笑顔にするような、そんな人。
でもそれって、太陽の一面に過ぎない。

あまりに強い陽光は植物や大地を枯らし、飢餓を呼ぶし、太陽という惑星の表面温度は5000℃以上にもなる。近づく事すら出来ない苛烈な存在。それが太陽なのだ。

太陽のような人。
それは近づき難い苛烈な魂を持った人の事を言うのかもしれない。


END



「太陽のような」

2/21/2026, 11:36:57 PM

素敵な人だと思った。
仕事は出来るし私達新人にも気さくに話しかけてくれるし、駄目なものは駄目と上司にもはっきり言うし。
こんな人になりたいと思った。
そしてその憧れは恋へと変わっていった。

「好きです」

勇気を振り絞って告白した。
この人は私をただの後輩としか見ていない。
でも、決して悪くは思っていない筈だ。だったら0からスタートして、少しずつプラスに進めていけばいい。
お付き合いしてる人はいないと言っていたし。

「俺のことが好きってこと?」
「はい」
「·····」
「あの、ご迷惑でしたか?」
「俺はさ、仕事のデキるパートナー、もしくは部下としての君は認めてるけどそういう感情は持ち合わせていないんだよね」
「少しの可能性も無いですか」
「悪いけど、君に対してだけでなく、誰に対しても持ってないってことだから。その、そういう感情」

――0からのスタートだと思っていた。
でも、どうやら違っていたらしい。
そもそもスタート地点自体が存在しなかったのだ。

生まれたばかりの恋はたった数日の命だった。


END


「0からの」

2/20/2026, 11:40:47 PM

「同情するなら金をくれ」は一時流行った言葉だけれど、「ほんとそれ」と思うことが増えてきた。
結局ある程度の財力はあった方がいいんだよなぁ。


END


「同情」

2/19/2026, 3:23:13 PM

久しぶりに遊びに行って、庭の様子に違和感を覚えた。
池の上に湾曲した枝を伸ばしていた大きな松の木が無くなっている。かわりにまだ小ぶりな楓がそこに植わっていて、赤く小さな葉が茂っていた。
「あそこにあった松の木、どうしたの?」
「腐ってた」
「え?」
「二年に一度樹木医に診て貰ってるんだが中が腐って空洞になってるって言われてな。だから植え替えた」
「ふうん。まぁ、外からは分からないからねえ。でも君、落葉樹は葉っぱの片付けがめんどくさいって言ってなかった?」
新しく植えた楓ももうチラチラと葉が落ちている。他にもこの庭にはいくつも木が植えられていて、季節ごとに変える姿が家主の目を楽しませているが、いかんせん秋から冬にかけての落葉には難儀していた。
「·····まあな。でも紅葉するのはお前も好きだって言ってただろ」
「綺麗だからね。赤いのも黄色いのも」
真冬の今はもう葉は落ちきってしまって、新しく植えたという楓以外はほとんど丸裸だ。閑散とした光景だがこれはこれで風情があった。
――そう言えば、松の木に雪が積もった姿は綺麗だったな、などとぼんやり思う。

「あの松の木は良いものだったが、腐ってしまってはな」
家主はそう言って庭に降りると、落ちてしまった楓の赤い葉を一枚拾って戻ってきた。
「そういえば、うちの若い子がいつの間にかいなくなっちゃってねえ」
「·····」
「私にも物怖じしないで声を掛けてくれる、明るい子だったんだけど」
「·····」
「外からは分からなかったけど、中身は腐ってたのかな?」
「·····」
無言で差し出してきた赤い葉は、残火のようで。
「あの枯葉も、腐っちゃう前に片付けなきゃね」
「そうだな」
家主は低くそう答えると、縁側に腰掛けて私にも座るよう促した。

赤い葉を持ったまま縁側についた私の手に、家主の手が重なる。
火傷しそうに熱い手だった。


END


「枯葉」

2/18/2026, 3:39:18 PM

23時59分59秒までは今日。
0時0分0秒からが明日。
じゃあ、59秒から0秒までの、私が認識出来ないごくごくわずかな時間はいつなんだろう。
今日と明日のわずかな隙間。
この隙間から覗くのは、明日が必ず来ると信じて疑わない脳天気な私を笑うナニカ達。
明日は必ず来ると勝手に思い込んで、寝たら当たり前に目覚めると信じきっている私の喉笛を、かき切ってやろうと狙っている。

「おやすみなさい」
今日にさよなら。
明日におはよう。
いつか言えなくなる日が来ても、悔いのないように。


END


「今日にさよなら」

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