せつか

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11/24/2025, 11:47:16 PM

娘の部屋に入ったのはこれが初めてだった。
上京し、ひとり暮らしを始めたあの子は「大丈夫だから」を繰り返し、心配する私が訪れようとするのを頑なに拒んだ。
真面目で、親の言うことをよく聞く娘が初めて私達に反抗し、上京したのが五年前。
今、私は思いがけないものを見ている。

「好きだったんです」
目の前に広がるのは私の知らない漫画かアニメのキャラクター。青い髪の、眼鏡をかけた男の子が数え切れないくらい並んでいる。
机には見たことない機械が並び、その周りにも小さな同じキャラクター。
「これ、液タブって言って、これで漫画描いてたんです。年に一回は必ずイベントに参加してました」
――知らない。
「これ、作った本」
「·····作っ、た?」
「お母さんにだけ、見せてもいいって言ってました」
薄い本の表紙には青い髪の男の子。
「Xでも時々ご家族の話されてたんです。·····見ますか?」
初めて会う娘の友達は、私と四つ違いの女性で、でも私より若い格好で、それより何より、娘を私より知っていて·····。
「見ても、いいものなんですか?」
「××さん·····あ、コレ、彼女のアカウント名なんですけど。亡くなる少し前に、デジタル遺品とこの部屋にあるものの整理を私に託されたんです。それで、ご家族はお母さんにだけ知ってて欲しい、と·····」
ベッドの端に並んで座り、彼女の手の中にあるスマホを見る。
『設営完了~。皆様今日はよろしくお願いします!しんどいけど楽しいから頑張る!』
机に並んだ本。
顔はニコニコマークで隠してあるが、ピースする薬指が曲がる癖で娘と分かる。けれどその服装は見たことないもので。
「イベントの時はいつもゴスロリ系で揃えてたんですよ」
彼女がクローゼットを開ける。
フリルがたくさんついた服が並んでいる。
「普段はこっちだそうです」
隣に並んでいたのはシンプルなスーツやカーディガン。
「ああ、これ」
ベッドに戻った彼女がスマホの画面をスクロールさせる。
『いつかお母さんには話したい。好きなもののこと、家を出た理由、帰らない理由。そして将来は、お母さんと二人で暮らしたい』
「――」
「ちょっとメンタル下降してた、って言ってた時期で、これ呟いた二週間後に、病気が見つかったんです」
――知らない。
「オフで会った時に色々話してくれて·····」

画面が滲む。
私は娘の何を知っていたんだろう。
カーテンの向こうに夕日が見える。
差し込む赤い光に、名前の知らない男の子が照らされる。
「あなた、時間はあるの?」
私の問いに、彼女は紫のネイルをした手でピースを作る。
「有休三日取りました」
「·····ありがとう。実は私も、初めてなんです」
「·····?」
「夫に反対して旅行する、って言ったの」
「××さん·····あ、本名の方がいいですね。明日、〇〇さんの行きつけのお店、行きましょう!」
「·····そうね。でも今は、ここで」

私の知らないあの子と、彼女の知らないあの子。
知るための鍵を探そう。


END



「君が隠した鍵」

11/23/2025, 4:34:50 PM

やらなきゃいけない事があるのについついスマホとipadに手を伸ばしてしまって、Xを見たりYouTubeを見たりあれやこれやしてるうちに「あれ!?もうこんな時間!?」となる地獄(笑)。

困った、困ったと言いながらそれでも手放せないスマホとipad。
手放した時間はいつか取り戻さないとなー。


END



「手放した時間」

11/23/2025, 3:49:19 AM

紅の記憶·····?

えーと、歯医者に行ったら神経抜く一番痛い処置の時に有線でX-JAPANの〝紅〟がかかって滅茶苦茶響いて痛かったこと、かな。
昔行った歯医者、何故かロックがよくかかってたんだよね·····(笑)。


END



「紅の記憶」

11/22/2025, 3:33:15 AM

書きかけの小説、コンプリートしそこなったトレーディングカード、中途半端なアドレス帳、数人しかいないフォロワー、買うだけ買って読んでない参考書、ラストダンジョンで止まってるゲーム、小学生の頃はたくさん貰っていた賞状、乗れないまま補助輪が取れなかった自転車、買って使っていないお菓子作りの器具··········

諦めたり、手放したり、急に熱が冷めたり、まぁ理由は色々だよね。

たった一つの夢に向かって邁進し続ける人は、私には眩し過ぎるのです。


END


「夢の断片」

11/20/2025, 3:24:47 PM

未来が見えないのは当たり前だと思う。
〝未だ〟〝来ず〟なんだから。

でも近い未来ならなんとなく見えるものもある。
たとえば暴飲暴食したら数年後には体重が増えるだろうなとか、肝臓が悪くなるだろうなとか。
誰かとずっと付き合っていたら、いつか同棲するのかなとか、結婚するのかなとか。

見えない未来はどうしたって見えないんだから、それをあれこれ悩むより見える未来の方心配した方がいいよ。
まずは、煙草やめな!!

◆◆◆

ほら見ろ、だから言ったじゃん。
寝煙草で火事なんてダサ過ぎて笑えないよ。
見えなかった? この未来·····。
カッコ悪いねえ。

でも·····本当はさ。
煙草吸ってるアンタの横顔、好きだったよ。


END


「見えない未来へ」

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