何事にも2面性がある。
青木会社は、中堅どころの老舗メーカー。商品は、決して質が悪くはないが、かと言って優秀だとは言い難い。
たまに、欠陥商品を出してしまう。それでも35年続いたプライドと人脈があって世間を堂々と渡り歩いている。
敏腕女社長が、若い頃に起業してコツコツと信頼を築いてきた証だ。社会貢献だってそこらの新会社なんかよりよっぽど貢献してる。だが、未だトップダウン型の青木は、組織が大きくなっても変わらないため上手く機能してないのだ。
おお、我が名を呼ぶ者はだれぞ。
ここは、どこだ?
わたしはいつからここに繋がれておる?
自分が誰かわからぬのに、なぜか、懐かしい響きが頭の中をこだまする。
おまえは、誰だ。なぜ、わしを呼ぶ。
わしの名前か?呼んでおるのはわしの名か?なんと呼んでおるのだ!ああ、呼ばれていると解っておるのに。
わたしの宝物、なに?うーんいまの生活?そうか、そうかもな。
たくさんの思い出なんてない。一度もお会いしたことなんて、ないのだから。でも、与えられたたくさんの励ましに、どれだけ救われ、どれほど涙をながしたことか。今はただ心から感謝し、先生が安らかに眠られること願っています。
冬になったら、なんて言葉にときめかなくなった。昔は、そりゃあ、冬になったら新しいコートを買って、セーターを買って、ブーツも買おうとワクワクしていた。冬の冷たく澄んだ空気と街のイルミネーションが好きで好きで、1番楽しい時期だった。そうね、なにかが変わったのかもしれないけど、子供があまりそういう華やかなものに興味を示さないし、この30年給料も上がらなかったし、気がつくと生活になんの楽しみもなくなってきた。
…けど、実は、そう言うのも、悪くない。上手に歳を重ねたんだと感じる。
今の自分も悪くないよと、たまには街のイルミネーションに目を細める。