足に踏ん張りを効かせて。
腕に全神経を振るって。
彼のこと以外考えるな。
遠くの彼に届くように。
この手紙が、届くように。
全身全霊、力を込めて。
愛の手紙を、投げてやろう。
わからずやの馬鹿な彼に。
私は、お前が、大好きだと。
「終わりにしよう」
なんて、君から絶対聞きたくない言葉。
嫌だ。いやだよ。君とまだ、このままでいたい。
でも、どうしても、終わりにしないといけない時が来たなら、君がそれを言うのは、辛いよね。
誰よりも好きでいてくれた君が言うのは嫌だよね。
君は聞きたくもないんだろうけど、こういうのは言った方が辛いってよく聞くし。
君に傷ついて欲しくないからさ。
私から最後の大好きを、送るよ
「終わりにしよう」
これから先、きっと必ず、離れてしまうあなたとしたいことがあります。
交わしたい約束が、あります。
いつか、いつかさ。離れて進んだ道が交わって、何処かで会えたなら。あなたと、会えたなら。
子どもの頃はさ、なんて過去の話をしませんか?
あそこで手を繋いだね。あそこでハグしたね。あそこに集合して遊んだね。あそこで友達にバレたね。
君と笑って、話をしたい。
朝起きて、おはよって今日も頑張ろうねってLINEして好きだよって言う。
学校で目が合ったら手を振って、話せたら話す。
帰ってきたらお疲れ様ってLINEして、夜お互い塾がない日は電話する。
そんな幸せな日常を
ずーっと君と繰り返していたい
私はただ、それだけなんだ。
「相合傘ってさ、めっちゃ距離近くなるよねぇ」
おそらく彼女さんであろう女子がそんなことを呟いた。そりゃそうだろ。相合傘なんだから。
「俺はこんな口実もなく、近くなりたいけどね」
道路側を歩く彼氏さんがぼそっと顔の向きを変えずに言った。
バッ、って効果音がつきそうなぐらい思いっきり彼氏さんの方をむく彼女さん。少し呆れたような、それでいて愛おしいと思っているような顔をして
「そういうことは、こっち見て言ってよ」
ひとつの傘の下でかわいいが大爆発した瞬間だった