お財布に入っていた金額で切符を買い、どこまで行けるか試してみると、なんと終点まで来てしまった。降りてみると、辺り1面畑や田んぼ。少し歩くと商業施設がゾロゾロと顔を出してくる。田舎過ぎず、かと言って都会ではない...終点の町は、田舎と都会のいいとこ取りをしたような町のようだ。
なかなか住みやすそうな町じゃないか。ひと通り探索した後、そろそろ帰ろうと駅に向かい財布の中身を見ると、一銭も入っていない。帰るとき用のお金を残しそびれたのだ。
楽しかった気持ちも束の間。迎えに来てもらうために親に連絡し、最大限の謝罪をした。
お題:終点
「クッキー?」
「一緒に作ってほしくて」
友達が一緒にクッキーを作って欲しいと言ってきた。お兄さんにあげるのだそうだ。
「ホットケーキミックスを練って焼いたらいいだけじゃん」
「それはそうなんだけど...誰かと作る方が楽しいから」
こう言われると、断るに断れない。私達はキッチンに移動することにした。
ホットケーキミックスで生地を作り、型抜きで生地をくり抜くと鉄板に乗せる。予熱が完了したらオーブンに入れて待つだけ。ここまでは順調だった。ピピピ、とオーブンがクッキーが焼けたことを知らせてくれたので開けてみると、クッキーがすこし焦げていた。
「ごめん! 火が通り過ぎたみたい。苦くないと思うけど...」
「これくらい大丈夫!ありがとう。おにいは何でも食べてくれるから」
早速渡してくると、友達は急いで帰っていった。お兄さんは食べてくれるだろうか。まぁ、あの人は妹の作ったものはなんでも食べるだろうとぼんやり思いながら、2人で作ったクッキーを口の中に入れた。
「にっが...思ったより焦げてたな...大丈夫かな」
お題:上手くいかなくたっていい
「チョコレートケーキ、フルーツタルト、モンブラン...どれも捨て難い......」
「買うもの決まった?」
「やっぱチョコレートかなぁ...いや、無難にショートケーキもいいな...よし、チーズケーキで」
「全然違うのきたな」
「声に出してなかっただけで初めから目ぇ付けててん」
お題:最初から決まってた
明るく、素敵な君が好きだ。
いつも僕を引っ張ってくれる手も、僕の名前を呼んでくれる声も、向日葵のように笑ったかと思えば、叱られた子犬のようにシュンとなる表情も、全部好きだ。
写真を撮るのが好きな君は、僕が作ったぬいぐるみや
フィギュアを撮ってくれた。それに飽き足らず、僕を外で撮りたいと言い出し、引きこもっていた僕を連れ出してくれた。花畑の中で撮ってくれた写真が賞をとった時は、とても嬉しかったし、誇らしかったよ。
そんな君が遠くに行ってしまう。会えなくなる距離では無いけれど、少し寂しい。幼なじみの君に僕の気持ちを伝えたら迷惑かと思うけど、見送る時に伝えるね。
ああ、瑞希、君は僕の――――
お題:太陽
「では、当日はこの流れでよろしくお願いします」
もうすぐ私達は結婚する。今日は式の流れの最終確認で式場に来た。打合せ場所から出ると、教会から鐘の音が聞こえた。今まさに式を挙げている人がいると思うと、自分の事のように嬉しくなった。
おめでとうございます。心の中でつぶやくと、私は足取り軽く、心躍る気持ちで式場を後にした。
お題:鐘の音