やるせない気持ち
頭の中を暗い思考がぐるぐる回って、落ち着かない。
こういうのをやるせない気持ちっていうのかな?
すると、部屋の隅にうずくまり、唸っている僕の元へ猫がやってきた。
普段は僕に近づいてきやしない、人嫌いな猫なのに。
あぐらをかいた僕の足に丸くなって僕を見上げる。
ー私は人が嫌いだが、君の面白い感情や顔は悪くない。
・・・今、喋った?いや、まさか・・・。
人嫌いな猫は僕を観察するのが好きらしい。
それがわかって、僕はため息をついた。
海へ
この前に見た夜の海があまりにも幻想的な景色だったものだから、絵を描いた。
でも、せっかく描いたのに、ここには私の絵を見てくれる人はいない。
誰かに見てほしくて、絵の写真を撮ると、スケッチブックのページを破き、くるくるとまるめた。
空き瓶に入れて、しっかりと封をする。ボトルメールの完成だ。
海へ行こう。夜の海が入ったボトルメールを流そうと思ったから。
前回の夜の海の続編です。(みけねこ)
裏返し
ー買い物に行ってきます。
一人だからって、私のおやつ食べないでね!
嫌いになっちゃうぞ!
机の上に置かれたカードに書かれたメッセージ。
そんなことするか!ってツッコミを入れながら、カードを手に取り、裏返してみる。
ー嘘。 大好きです。
すみっこに小さく、別に見つからなくていいというように書かれた本音。
「・・・早く帰ってこないかな・・・」
時計を見ながら一人つぶやく顔は、いつもより少し赤かった。
鳥のように
私の背中に翼があったなら、鳥のように、
彼の元へ飛んでいけるのに。
さよならを言う前に
ー好きだよ。
いつもの帰り道。互いの家へと向かう岐路を前に彼が私に言った。いつも、さよならを言う場所で。
ー・・・なんで、今言ったの?
ー今しか言えないと思って・・・さよならを言う前に
したくて。
今日、ここでさよならしたら、彼は旅立って行く。
明日、さよならを言いたくても、もう言えない。
ー私も言いたいことがあるの。さよならを言う前に。
たぶん今日は、なかなかさよならが言えないだろう。
ー言いたいことがたくさんあるんだから!
ーわかった。全部聞いてあげる。
夕焼けが暗くなっていくまで、さよならを言いたくなくて、悲しい想いを押し込んで、そして・・・
ー私も、好きだよ。