子供の頃に親戚の子たちと遊んだ海辺に来た
波音に耳を済ませて
懐かしい日々を思い出す

自分よりも田舎に住んでいた親戚の子たち
池や裏山、海辺が遊び場だったらしい
自分と違って運動神経もすごかった

はるか時を経て
今はみんな大都会へ旅立ったと聞いた
自分は生まれ育った街にずっと残っている

大都会には彼らが生まれ育ったような場所はどこにも無いだろう
環境に慣れてしまえば
故郷に戻りたいとも思わなくなるのだろう

削られた裏山
埋められた池
海辺だけがあの頃のままだった

悲しさや淋しさは特に無い
ただ、時が経っただけだ

草原を渡る青い風
遠くに見える海
人工物がほとんどない丘から見る景色
このまま自然の中に溶けていきそうだ
重たかった気持ちが少し軽くなる

体がしんどくて
何もやる気が起きない
何とか気持ちを奮い立たせ
必要最低限の作業を済ませ
倒れ込むように眠る

こんな毎日に嫌気がさしたので
遠くへ行きたい
非日常の刺激を受けたら
きっとまた頑張れる

花言葉があるように
石言葉がある

クリスタルは
純粋、無垢、神秘、繁栄、調和などらしい

確かに透明な姿は無垢や純粋を彷彿とさせるし
角度によってさまざまな輝き方は神秘的だ
複数の結晶が密集した形は繁栄や調和がしっくりくる

見た目で印象を決めつけるのはあまり良くないが
こういうパターンならまぁいいか

夜風を浴びながら歩く
夏の匂いがする
遠くでお囃子の練習が聞こえる
空を見上げれば流れ星が一瞬見えた

日中は屋外に行くことはほとんどないが
夜は全身で夏を感じる