行かないでと、願ったのに行ってしまう
そんなものだ
こちらの勝手な都合なのだから

最初は離れることに寂しさや悲しさを覚えるが
時が経つともう会えないことに納得して
これも人生なのだと受け入れる

だが、決して忘れたわけじゃない
気持ちも距離も離れていても
どこかで楽しく過ごしていればいいと
心の片隅で祈っている

旅の思い出を
ノートやファイルにまとめる

チケットの半券
お土産のレシート
もらったポストカード
限定のシール

秘密の標本のように
大切に保管して
たまに見る

楽しかった
また行きたい
ありきたりな感想と共に
ティータイムを過ごす

凍える朝
少し早目に目覚めたが
休みだし、体が動かないので
二度寝をする

少し遅めの朝食は前日の残り物
そして体を目覚めさせる為のホットミルク
忙しい時は食べることしか考えないが
今日は味わいながら別のレシピを考える

家事としての料理ばかりだったので
今日は趣味としての料理をしよう

遅く起きたことに少し後悔しつつ
挽回する為に予定を詰め込む

弟とは光と影のような関係だった
忌憚のない発言は
なぜか好感を持たれて
気難しい人にも気に入られた

それを側でヒヤヒヤしながら見ていた自分は
あんな風にはなれないと
羨ましさと諦めがあった

とは言え、仲が悪いわけではない
上手く回っているならそれでいい

生きることに執着がない知り合いがいる

好きなことを止めてまで
長生きしたいとは思わないし
病気になったらそれは仕方ないと言った

長生きしてやりたいことを
たくさんやりたい自分とは考え方が違うが
そういう生き方もあるのかと思った

もしもの時は
悔いのない人生を送り
そして、旅立ったのだと思うことにする