【どうしてこの世界は】
最近ずっとそう思っている。
周りからは何かと理不尽なことを言われるし、頑張っても空回りしてうまくいかない。
違うな、頑張ろうとしてないんだな。
頑張ってる気になっているだけで、本当は自分を守ってばかり。出来るだけ悪目立ちしないように無難な行動、発言。
でも結局、前に出ても、後ろで隠れていても、私を恨む人やよく思っていない人は必ずいるようで、何をしてもその人たちから『目ざわり』と思われている気がする。
『別に嫌われてもいいじゃん』って割り切った考えが出来るようになるのはまだ先かな。
」
「ねえねえ、この世界って本当に存在していると思う?」
「え、どうしたの急に」
「なんか気になっちゃってさ」
「そんなこと考えてる暇があったらテストの勉強しようよ」
「今喋っているこの言葉も、本当は誰かが作り出していて、私の意志で言っているように見せかけているだけだとか。考えたことない?」
「全然聞いてないな……」
「最近、覗かれてる気がするの」
「何から?」
「私たちが生きてるこういう世界って、この世にごまんとあるから」
「ねえ、聞いてる?」
「きっとこの物語のためだけに生まれた存在で」
「あとは忘れられる」
「いつでも簡単に産み落とせて、簡単に削除できる存z
私は今、アナタに話しているよ。
「
【雨上がり】
雨が降っている。
もうかれこれ三十分ぐらいバス停で雨宿りしているわけだが、一向に止む気配がない。
遠くで雷の音が聴こえる。
そろそろまずいなと思い立ち上がって、でも焦るとろくなことがないと思い直し、私はまたその場に座り直した。
たぶん、大丈夫。雨の日は暗いし少し怖いけど、きっと……迎えが来てくれるはずだから。
天から降ってくる雨たちは、バス停の屋根や水たまり、そこら中に生えた草木に落ちては様々な音を立てていく。
『ざーっ』という砂嵐のような音の中に時折混じる、『ぴちょん』という雫が跳ねる音が心地いい。
うん、やっぱり雨の音は悪くない。
それに––––。
「天音!」
ほら、やっぱり迎えに来てくれた。
息を切らせて走ってきた彼女に、私は笑いかける。
「遅いよ、虹架」
彼女が来てくれるだけで、こんなにも嬉しがっている自分がいる。彼女が私を気にかけて心配してくれたことが、分かるから。
「もう雨上がっちゃったよ」
落胆したような彼女の声に外を見ると、さっきまで降っていた雨が嘘のように消え去っていた。
「せっかく傘持ってきたのに……」
「いいよ、せっかくだから傘さして帰ろうよ」
落ち込む彼女の横顔に、私は思わず声をかけた。
「ありがとう」
彼女は驚いた表情でこっちを見て、そして笑った。
雨上がりの空には美しい虹が架かっていた。
【さらさら】
触り心地がいいものに触れていると、心が凪いでいくような気がする。
ざらざら、とか じゃりじゃり、とかよりも
手で感じる違和感がない方が好き。
もふもふしたものも好き。
【 】
『私はいつまでも創作のあらすじを考えてばかりいて、一向に前に進めやしません。
世間一般で言えば、痛くて黒々しい画面の検索履歴を見ながら、私は一体何が作りたいのだろうと自分自身に問いかけます。
誰かの真似事をすることでしか自分の価値を見出せず、今だって誰かの言葉のかけらをさもその人の文才が乗り移ったかのように偉そうに喋っている。』
ああ
わたしはやっぱりなにもない。