やさしくしないで
中途半端な優しさを振り撒かないでほしい
反応もらえて、話かけられて、そりゃ仲良しかもって勘違いしてしまうでしょ
また反応もらえるかな、話しかけてもらえるかなって期待してわくわくしながらスマホを眺める
まだかな、なんてそわそわし始めて
今日は忙しいのかも、寝て起きたらきっと通知きてるよね、って寝れない目を無理矢理閉じた
無駄にスマホを触らないように、見ないように、スマホを遠ざけていざ開いてみたのに通知なし
もうやだ、期待させないでよ、もうほっといてよって落ち込んだ
やっぱりアカウント消して見てるだけが1番楽だし、自分の時間増えて楽しい!
小さな世界にしがみつかないで広い世界に飛び出そうよ!
バイバイ
しんみりした雰囲気って嫌いなんだ。
別に喧嘩した訳でもないし、嫌いになった訳でもない。
ただもうあなたと一緒にいられないだけ。
お互いにやるべきことがあるから、それを成すべく頑張りましょうってこと。
いまで側にいてくれありがとうの感謝の気持ちは伝えたし、笑ってさよならも言った。
去って行くあなたの後ろ姿に手を振り、バイバイって言葉が自然と溢れおちた。
あれ?おかしい。
あなたの背中がぼやけてきたんだけど。
鼻水まで出てきた。
意味わからない。
彼とは真逆の方向に私は歩き出した。
まだ知らない君
泣くんだ、そう思った
ひとを惹きつけるように大きな声で教室の中心で話す君を見て、悩み事もなさそうお気楽奴なんだと遠巻きで眺めていた
ころころと変化する表情に忙しそうだなと
笑って、怒って、また笑って、大変そうだ
長引いた委員会の会議が終わって、やっと解放されことで無意識に早足になりながら教室に向かった
荷物を取って早く帰路に就きたい
待ちに待った週末は何をしようかと柄にもなく考える
教室の扉は開いていて、クラスメートはもういないんだろうと中に入ると、ぽつりとひとり窓辺に立つ人影がみえた
夕陽に染まるそのひとの頬に無数の雫が音もなく流れていく
どくんって心臓が跳ねた
待て待て、おかしいだろう、何だよこれ
泣くんだ珍しいって思っただけなのに、何でけたたましく鼓動が動いているんだ
抱きしめたいとか、可愛いとか、抱いたことのない想いが流れ出してくる
やめろ!何だこれ!
人の気配を感じたのか振り返った彼女と視線があって、慌てたように涙を乱暴に拭う彼女から目が離せない
「まだ残っていたんだ」なんてぎこちなく笑いかけられ、一気に頬が熱くなる感覚がした
「顔赤いけど大丈夫?」とこっちの心配をし始めたお人好しに近づくなと叫びそうになって、屁っ放り腰で後退り逃げた
「大丈夫だ!!」と捨て台詞を吐いて廊下を走る
優等生で通っているのに、廊下なんて走っているところを見られてみろ、俺のイメージが崩れるのにかまってられなかった
くそっ、なんだよあれ!あんな知らない表情を見せられたら、俺だけが知っている君だと思うだろう!!
勝手に恋に落とすなよ!もう最悪だ
鞄も取り損ねたし、どうするんだよ
帽子かぶって
さて、準備はできた。
あー、やだって思うけどやらないとしょうがない。
初めは楽しいんだけど、だんだん腕も腰も痛くなってやりたくなくなっちゃう。
今だってしんしんと降り続いてる。
嫌になっちゃうな。
愚痴愚痴言ってても振るもんは降るんだし覚悟を決めて、帽子かぶって、いざ!雪かきへ!
うえー、膝まで積もってるじゃん。
やっぱり引き返していい?
ぬくぬくのこたつが私を呼んでるんだけど…
終わらない物語
快晴な空に花びらが舞いあがり、歓声が辺りを包みこんだ
おめでとう、お幸せに、
祝福されながらふたりは一歩一歩と階段を降りていき、寄り添いながら進む
いままではひとりずつの物語を歩んできたけど、これからはふたりの物語を紡いでいく
ゴールじゃなくて、新しいスタートをきろう
終わらない物語のはじまりだ