あなたへの贈り物
贈り物って言えるほどの大それた物じゃないけど、目元をくしゃってさせてはにかんで「ありがとう」って言って受け取ってくれる姿が容易に想像できる。
私があげたしょうもない物ですら大切にしていてくれる彼。
無くさないようにってブリキの缶に入れてるんだって、頬を緩ませながら言った顔が忘れられない。
またくれるのを楽しみにしているよって、子どもみたいに目を輝かせて言うものだからあなたへの贈り物を今日も探している。
海で拾ったシーグラス。森で拾った松ぼっくり。
季節が移り変わるたびにあなたと一緒に見た宝物。
桜の花びら、銀杏や紅葉の落ち葉、向日葵に朝顔、雪の埋もれた南天の実。
ありきたりな物だけど、ふたりの思い出が詰まっている。
これからもあなたに贈っていきたいな。
明日に向かって歩く、でも
立ち止まりたいけど、立ち止まれない
マグロのように進み続けて生きていくしかない
明日に向かって、それって未来ってことでしょ
歩き続けて壁にぶつかって、何もかもが嫌になる
明日に向かって歩く、でも歩きたくなんてない
いっそのこと立ち入り禁止の看板を掲げて歩けないようにしてほしい
ここからは進入禁止ですって止めてよ
立ち止まっていい言い訳を頂戴よ
ただひとりの君へ
きみへの想いの感情を否定して疑って、どうして出会ってしまったんだろうと後悔に苛まれたときもあった。
守ってやらないと、そばにいて支えてやならいとなんて決めつけて、本当に必要なときにはそばにいることをしなかったくせして。
どこで間違えたか自問自答を繰り返しても答えなんてひとつもわからなかった。
きみが泣かないでいいように。屈託ない笑顔で笑いかけてくれるように。そう望んだだけだったのに。
君を傷つけたことをただ謝るばかりだ。
手のひらの宇宙
きらきら。きらきら。
星のかけらを手のひらに広げたら、色とりどりの星が踊るように散らばった。
閉鎖的な瓶から飛び出して踊りあかす星をひとつ捕まえた。
捕まえた星を躊躇なくぽいっと口に放り投げた。
彼女の言った通り。星って甘いんだ。
風のいたずら
いや、もうさ、これしか浮かばなかった
風のいたずらって
ラッキースケベしかないと思うのは私の感性がないからだよね
寒いと縮こまって歩いてると目の前には好きな子
今日も可愛いなって見てたら通り風
風でふわりと舞うスカート
見るつもりなんてこれっぽっちもないのに見えてしまった
慌ててスカートを押さえてきょろきょろと周りを確認する彼女とばっちり目線があっちゃった
見たなとじと目で睨まれて、誤解だと弁解するように追いかける
こんなラブコメしか浮かばないよね