俺には四人の幼なじみがいる
春奈、夏美、秋、冬乃。
みんな俺のことが大好きで、
朝に弱い俺を交代で起こしに来てくれる。
🌸 杉花粉 春奈の場合
「俺さん、おはようございます」
春奈は前髪ぱっつんの美少女で、料理上手な大和なでしこ。春の山菜で天ぷらや和え物を作るのが得意だ。
「早く起きないと、キスしちゃいますよ?」
寝たふりをしていると、
彼女の顔がだんだん近づいてくる。
唇が触れそうになったその瞬間──
「ぶええくしょいっ!」
俺の盛大なくしゃみが春奈の顔面に直撃した。
どうしてだろう、彼女がそばにいると
いつも鼻がムズムズする。
🌻 暑井世 夏美の場合
「さっさと起きろ!セミのぬけがら!」
「ぐふっ」
ツインテールとつり目が特徴的な美少女の夏美は、
毎朝馬乗りになって俺を叩き起こす。
口は悪いし、いつもくっついてくるから暑苦しい。
「おい、夏美。パンツ見えてるぞ」
「はああ?!キッショ!100回熱中症になっとけ!」
❄ 寒稲 冬乃の場合
「俺クン、アサデスヨ」
冬乃は色素の薄い美少女で、
手に触れると氷のように冷たい。
布団から出られず震えている俺に、
冬乃がそっと近づいて耳元で囁く。
「フトン ガ フットンダ」
おやじギャグが放たれた途端、
俺の体は凍りついた。
「ウフフ」
🍁 秋田 秋の場合
「こーら、俺くん。早く起きないと
学校に遅れるぞ、ぷんぷん!」
秋は栗色のサラサラロングヘアが特徴の正統派美少女で、俺にとって理想の幼なじみだ。
しかし、毎年彼女と過ごせる時間は
短くなっていく。
寂しくなって秋の腰に抱きつくと、
彼女は優しく俺の頭を撫でた。
「俺くん、これあげる」
彼女が手渡したのは、一枚の紅葉。
「この紅葉を見て、秋のこと思い出してね」
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「アンタ、いつまで寝てんの!会社遅刻するわよ!」
母親に叩き起こされ俺は目を覚ました。
どうやら今まで見ていたものは
すべて夢だったらしい。
のそのそと起き上がると、
枕元にひとひらの紅葉が落ちていた。
お題「秋 🍁」
私はある悩みを抱えている。
それは、ネットで知り合った
YとLINE交換した事がきっかけだ。
最初の頃は楽しく会話できていた。
だが時が経つにつれ、相手の態度が豹変。
今では一日に何度も乱暴なメッセージを
送りつけてくるようになった。
ピンポン。
通知音が鳴った。
Yからだ。
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╭━━╮
< ねえ┃
╰━━╯
╭━━━━━━━━━╮
< なんで無視すんの? ┃
╰━━━━━━━━━╯
╭━━╮
< おい┃
╰━━╯
╭━━━━━━━━╮
< さっさと返事しろ┃
╰━━━━━━━━╯
╭━━━━━━━━━━━━━━╮
┃ごめん💦 今忙しいからまた後で>
╰━━━━━━━━━━━━━━╯
╭━━╮
< は?┃
╰━━╯
╭━━━━━╮
< ふざけんな┃
╰━━━━━╯
╭━━━━━━━━╮
< てかそいつだれ?┃
╰━━━━━━━━╯
╭━━━━╮
┃そいつ? >
╰━━━━╯
╭━━━━━━━━━━━━━╮
< 今喋ってた男だよク〇ビッチ┃
╰━━━━━━━━━━━━━╯
╭━━━━━━━╮
< 何とか言えよks┃
╰━━━━━━━╯
╭━━━━╮
< こ〇すぞ┃
╰━━━━╯
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こいつやばい。
身の危険を感じた私はYをブロックした後、
相手のアカウントも削除した。
その夜、自宅に帰った私は反省した。
あんなキ〇ガイ野郎とは
金輪際関わらないでおこう。
気持ちを切り替えるように深呼吸して、
ベッドに横たわる。
すると、私の耳に生暖かい息が
吹きかけられた。
「さっさと既読しろよks」
お題「君からのLINE」
耳を澄ますと
赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる
おんぎゃーおんぎゃーってね
お母さんいなくなっちゃったから
お兄ちゃんが面倒見てたんだよね
「🫣」
(訳:いないいない)
「🤗」
(訳:ばあ)
ってね
だけど赤ちゃんはそれでも泣き止まなくて
お父さんがキレ散らかして
赤ちゃんを絞め殺しちゃったの
「😢」
お兄ちゃん隣で泣いてたよ
観客を喜ばせられない道化師は失格なんだ
そしたらお父さんがね
「なんだそのシけた面は」
って言ってナイフ🔪を取り出したの
「笑えよ」
そんでお兄ちゃんの口元に傷を入れたの
「ほぉらこれで笑顔になった」
ってね
耳を澄ましてごらん
ほらまだ赤ちゃんが泣いてる
お題「耳を澄ますと」
高級住宅街のとある一軒家に
訪問販売に訪れたA
「この間買った浄水器、
もうすっごく良くて愛用してるわよ」
「ありがとうございます」
この家に暮らす奥様はいつも
ニコニコとしている優しいご婦人だ。
この仕事は行く先々で嫌がられる事も多いのだが、
奥様は親切に迎え入れてくれて、
商品を購入してくれた。
今はこうしてお茶とお菓子までいただいている。
ふと、庭の方に視線を向けると、子どもがいた。
窓ガラス越しにこちらをじっと見つめている。
ボサボサの髪にヨレヨレの服、薄汚れた肌、
おそらく何日も風呂に入っていない。
「あ、あの」
「ん?どうしたの?」
「外に子どもがいます」
「あーあれね、気にしなくていいのよ!」
パンフレットに視線を向けたまま
明るい口調で話す奥様。
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「すみません、御手洗を借りてもいいですか?」
「どうぞー、そこ奥入って右にあるからね」
暗い廊下を進むと先程の子どもが蹲っていた。
「ひっ」
こちらを見上げる真っ黒な瞳。
よく見ると顔や体に細かい傷跡が
たくさんできている。
「きみ、大丈夫…」
手を伸ばそうとすれば、
ガシッ!と何者かに腕を掴まれる。
横目で見やると、奥様が真顔で立っていた。
「優しくしないで」
「え」
「それに優しくしないでね」
そして、奥様はいつものように笑ってみせた。
お題「優しくしないで」
天使と悪魔
あたしの家には天使さんと悪魔さん
が暮らしている。
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~Temperance~
👼「化学調味料は悪魔の食材!特に味の素!
あんなもの食べたら地獄に落ちるわよ!」
天使さんは自然派。
だから外食なんて行った事ない。
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~Gluttony~
悪魔さんの部屋にはコーラやポテチなど
たくさんのお菓子が用意されている。
😈「好きなだけ食べていいよ」
ゴクゴク、パリッ、モグモグ
おいしい。
炭酸もスナック菓子もこんなに
おいしい食べ物なんて知らなかった。
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~Lust~
悲しい事があった日には
😈「どしたん?話聞こか?」
悪魔さんはそっとあたしを
抱きしめてベッドで慰めてくれた。
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~Chastity~
👼「あなたの部屋のゴミ箱にこんな物が入ってたわよ。なんて汚らわしい!」
勝手に部屋入んな。
👼「私のいい子はどこへ行ってしまったの?」
あーもう、うるさいなあ。
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~Wrath~
あたしの赤く汚れた手や服を見て
悪魔さんは笑った。
😈「君は本当に悪い子だ」
お題「善悪」