決して合わない視線。貴方の腕をすり抜ける私の手。貴方の中での私の存在はもう薄くなってしまっていることに気づき、軽く目眩がする。誰かが言っていた、好きの裏返しは嫌いではなく、無関心だと。本当にその通りなのかもしれない。あんなにも愛おしそうな表情をしていた貴方はどこへ行ったのか、その顔には何の感情も灯ってはいなかった。別れるその最後まで、貴方は私を見ていなかった。
#裏返し
今すぐ飛んでいきたい。どこか遠くの方へ。貴方がいないところなら、どこでもいい。これ以上貴方と一緒にいたらきっと困らせてしまうから。どこか遠くに旅をしに行こう。貴方のことを忘れてしまうくらいの速さで全てを放り去ってしまおう。貴方との記憶も貴方への想いも全て。全て捨てて羽ばたこう。それが私にできる唯一の償いなのだから。
#鳥のように
別れ際、君は涙を流した。その涙の意味が私には痛いほどわかっていたし、君もそれをわかっていたのだろう。涙を止めようと強く瞼を擦る君の手を抑え、目元をそっと拭う。ハッとするような大きな瞳と目が合う。私を見つめるその瞳を覆い隠すように私は君を抱きしめた。君がこれ以上不安にならないように、これ以上涙を流さないように。しばらくしてゆっくりと体を離した私は、別れの言葉を小さく呟いた。
#さよならを言う前に
ただのキーホルダー。名前のイニシャルが入っているだけのただのキーホルダー。貴方があまりにも笑って選ぶから、特別な気持ちになって買ったもの。今はもう連絡もとらないし、数年会ってない。このキーホルダーを見るたびに、貴方の笑顔が脳裏によぎり捨てられない。いつまで経っても思い出が捨てられない。
#いつまでも捨てられない
自分に自信がなくて、いつも下を向いている貴方。背中が丸まっていて、か細い声。貴方は本当に素敵な人なのに自信のなさが邪魔をしてしまっている。意思の強い瞳、可愛らしい笑顔。もっと自分に誇りを持って。貴方の伸びた背筋、人を見る真っ直ぐな瞳、柔らかな笑顔。それを見るとき、私はとても誇らしい気持ちになる。貴方はとっても素敵な人。
#誇らしさ