一輪のコスモス
コスモスを道端で見つけてね。秋っぽいなぁと思って君に見せようと思ったの。でも何かの間違いで花の部分が取れちゃってさ、もうこれただの草だよね。
まぁ花って咲いてなかったらただの草だもん仕方ない。
コスモスの茎、いっぱい枝分かれしてちょっとレースみたいじゃない?
………え? 何が言いたいのかだって?
え〜と、その。よければそのコスモス見に行きませんか? どうせ暇でしょ?
秋恋
「それは愛って言うんだよ」
秋の恋と言えば寂しいものなんじゃないかと思ってしまいます。
一日千秋って言葉のせいかな。
昔の私はどうして秋なのかよくわかりませんでした。二百五十年じゃだめなのかって。
でも秋は涼しくて、やっぱり。
悲しい季節なんだと知りました。
一生秋の中にいてもいいと思えるような、そんな恋がしてみたいです。
え、なんですか?
愛する、それ故に
我思う、故に我あり
とっても有名な言葉です
私は考える、だから私は存在する
でも、僕が僕であると思うと嫌になることもある
嫌いなところ、嫌なところいっぱい見えます
やめたくなることもいっぱいあります
そんな小さな世界でもね
我愛する、それ故に我ありだと思うのです
あなたもきっとそのひとつ
静寂の中心で
君は本を読んでいて、僕は筆を手に取っている。
わざわざこんなところで会うのも変な感じだと思いながら、いつもと同じようにカフェテリアで相席していた。
特に話したこともないんだけど、空いてるからって理由で僕が先でも君が先でも同じ机を共有する。
この静寂の中心で渦巻いている気持ちは一体何というのでしょうか、
燃える葉
さざんか さざんか さいたなら
たきびだ たきびだ おちばたき
これ、冬の歌だっけ。
中庭の落ち葉を集めながらなんとなく歌っていると、冬のことを思い出す。あの日、落ち葉を集めて、そこにアルミホイルで包んだイモを入れて、チャッカマンか何かで火をつけた。葉っぱの色がすーと変わって、空気がゆらゆらと揺れる。近づけば熱い、でも離れれば何ともない。あったかいってところは全然なかった。
あの日もおんなじ歌を歌っていた。あそこは田舎だったけど、ここは住宅街に囲まれた学校だから火を点けるなんてことはできない。もちろん焼くイモもないけど。
あんなに風景は覚えているのに、イモを食べたのかは全く記憶にないのだった。それを、今似たようなことをすれば思い出せる気がして。とてつもなく惜しいことをしているような、さみしいような気持ちになる。
さざんか さざんか さいたなら
たきびだ たきびだ おちばたき
あたろうか あたろうよ
きたかぜ ぴーぷー ふいている
今はまだ、彼岸花が揺れるだけ。