『リボン』
視界がにじむ
汗を拭うフリをして、目元を強くこすった
もし、君とわたしが、運命で結ばれてたなら…
この物語の結末も、少しは変わったのかな?
君とわたしを結んでほしい。
もうどこへも行けないくらい、強く、固く、
赤い糸で
手紙をそっとスカートに隠す
この想いは届けないほうがいい
また、声をかけるから…。
君の背中に向かってつぶやく
悲しくなんてないのに、また視界が歪んだ
暑い光に包まれながら青い青い空を見上げる
そうしているだけでも、首筋にじんわりと汗がにじむ
デジャヴ…。
だんだんと、イライラしてきた
こっちは大変な思いしてんのに…。
お前は気楽でいいよな、ただ浮かんでいるだけでいいんだから。
でも、なぜだろう
そう感じることができる自分を、誇らしくも思えた…
お前にはできないことだ。
ぼくは、初夏の太陽に見守られながら熱せられた歩道を見据えた
その首筋には、汗がにじんでいる
7月。
旧暦だと、たしかもう秋になるんだっけ
あと2日。
そしたらもう、すぐに大会が来て、終業式が来て、あっという間に…最後の夏休み
課題は多いだろうな
夏期講習もたくさんかも
思い出なんかも作りたい
…きみには会えるかな。会いたいな。
セミたちの合唱に包まれながら、
絵に描いたような入道雲のもとで、
きみと、初めて話したい
きみと、初めて笑い合いたい
今年こそは、勇気が出るかな
快晴よ。声たちよ!
ぼくの背中を押してくれ。
『飽和』
桜が舞っている。
また、あなたを思い出してしまう。
また、あの日々を頭に浮かべてしまう。
そしたらまた…
涙が出てきてしまう……。
いまもまだ、あなたのことを想っています。
手の届かないところに行ってしまったあなたを、ずっとずっと探して、追いかけています。
またいつか、あなたに会えるのを期待しています。
でも、そのときは……
ここではないどこかで会いたい。
そこではきっと…
桜が舞っている。