赤ちゃんの手のひらに指をのせると、
ぎゅっと握って手をつないでくる。
あれは、手掌把握反射といって、
刺激に対して無意識にでる行動らしい。
赤ちゃんが求めてくれてるんだと思ってたのに、
なんかちょっと残念。
そんなことを思い出しながら
先に寝た君の手にそっと触れたら、
ぎゅうっと握り返してきた。
赤ちゃんなのかな?
それとも夢の中で私の手を握ってるのかな。
どちらにせよ幸せだ。
手を繋いだまま眠りに落ちる。
メディアで人気の高級洋菓子店が催事に出ていたので、長い列に並んだ。
1時間近く待ったけど、イベント限定のケーキを2つ買えた。喜ぶだろうな、と嬉しくなる。
予定より少し遅れて君の家にいき、ケーキを渡すと、顔がぱーっと輝いた。
弾むような声で「ありがとう!」
そして、少し遅れて小さな声で「…ごめんね、並んだ?」
ああ、君はまだ、申し訳ないと思うんだね。
僕が君のために何かをすると「ごめんね」がついてくる。
僕の愛情と君の愛情が釣り合ってない気がしているんでしょう?僕と同じだけの愛を返せないことが、真面目な君には辛いんだよね。
困ったような顔。
好きになったのは僕だから、かまわないのに。
そのうち「ありがとう」だけで甘えてくれるようになるのかな。
この状況に耐えかねた君が、「ごめんね」って切り出す日が、どうか来ませんように。
部屋の片隅に
落ちている
子どもの小さい頃の
足あと
小さい
かわいい足あと
幸せのあと
いつの頃からか
逆立ちができなくなったので
世界を逆さまに見ることが
できなくなりました。
今は寝転がって
横にばかり見ています。
眠れないほど疲れていたあの頃。
眠るのにも体力がいるみたいで、
気を失うようにしてベッドに倒れこんだのに、
朦朧としながらもすぐ覚醒してしまう。
やらなきゃいけないことに追われて、
とにかく辛かった。
最近は、疲れが一定値を超えると問答無用で眠りに落ちる。
年のせいで無理がきかなくなったと言えばそれまでだけど、
私の身体も賢くなったなあと思う。
眠る体力は残しておかなきゃいけないよ。