9/7/2025, 1:43:27 PM
いばらに包まれて冷たい窓に吹きつける風をよそにあなたは横たわる、夜は夢の中に雨が降る、傘もなく樹木の下に留まるままの、あなたは目を伏せていっぱいに抱えた花の匂いをかぐ、あなたは待っていなくてもいい、走り抜けて行くことを選んでいいと、窓のずっと外から、願っている人がいると、あなたは知らないままで眠る
『雨と君』
7/18/2025, 1:58:39 AM
立ち並ぶ林道を抜けてきた額にうるう凹んだ果実の光はそれでも美しいと、微笑む前の顔だって美しいとあなたは
『揺れる木陰』
7/12/2025, 2:14:17 PM
花を揺らして現れたきみの気高き背中は墨色にひかる
『風鈴の音』
7/8/2025, 10:55:31 AM
例の今月中ごろから始まった仰向けに寝て起きたらうつ伏せになっている現象について、電話するほどのことじゃないだろと言われながら笑って話す向こうの声に混じって強くかすかに風の音がしている
『あの日の景色』
7/2/2025, 3:12:22 PM
認められた悲しみなんていらない、とあなた、さざ波に任せた身体はゆれる、光の中に差す暗い傘の、洞窟のような瞼を
『クリスタル』