1/23/2022, 10:47:00 PM
『こんな夢を見た』
私は暗闇の中を歩いている。
なぜこんな暗闇に身を置いているのか、
理由はわからない。
しかし私の歩みが止まることはなかった。
なぜなら、歩く私の後ろを着いてくる何者かの存在に、
私は気付いていたからだ。
その何者かは、
獣のようでもあり、人のようでもあり、
そのどちらでもないであろう事は安易に想像できた。
形状し得ない未知なる者。
濡れた足音がひた、ひた、と闇に響き、
荒い呼吸の音が耳にべたりと纏わりついてくる。
私はひどく怯えながら、絶対に追いつかれまいと
ただひたすらに歩を進めている。
目的地もわからずに進んだ時、
程なくして暗闇の中に一筋の光が見えた。
「出口だ!」
そう思い走り出した瞬間、私は膝から崩れ落ちた。
思わず視線を移し、驚愕した。
私の足は、読んで字のごとく球体関節人形の四肢に
成り代わっていた。
やっと、やっと外に出られるのに。
動け動け動けと足を何度も何度も強く叩いたが、
足は痛みどころか自分の物である感覚もない。
刹那、私の後をついていた何者かの足音が止み、
そいつが背中の薄皮一枚程まで
近づいていた事を直感した。
心臓がドッと張り裂けんばかりに痛くなる。
荒れた呼吸の音が背後の何者かのものなのか、
自分のものなのか、既にわからない。
後ろを振り向けない。
涙が溢れる。
嫌だ。
いや
…
暗闇は静けさを取り戻した。