ただ走って。走って。
逃げていた。逃げてしまった。
そして、道に倒れ込んだ私を拾ってくれたのがあの人。
すっごく優しくて、こんな人、ほんとにいるんだって驚いたのをよく覚えている。
そんな素敵な人を。
私を我が子のように可愛がってくれたあの人を。
……私は、きっと裏切ってしまったのだろう。
誰かだったそれらがあちこちに転がってる廊下で横たわったまま動かない、たったひとりの友だち。
連れて行かれたあの人。
私が幸せに生きていけるように、必死に手を尽くしてくれたとある人。
あの人も
あの人も
手を繋いでくれていた
分かってます
悪いのは私です。
お題*手を繋いで
苦しい。
こんなものがあるから苦しいのだ。だから捨ててしまおう……と思ったが、どうやら、ないはないで苦しいらしい。文字通り笑えない話だ。
どっちにしろ苦しいなら、触れることのできる方も捨ててしまおうか?……だめだ。それも、捨てるまでが苦しい。
──そういえば、苦しみは、ずっと己の隣にいた。小さな時から、ずーっと、僕の隣に、そばにいた。
今もきっとここにいる。
捨てたはずの感情であり、捨てようとした心臓をここに留めた苦しみ。
今もそばで座ってる。僕に生きろと、笑えと言っている。
……ああ、とても苦しい。なんてやつだ。
笑えてくるな。
お題*ココロ
「星にお願いごとを3回唱えると叶うんだよ!」
確か貴女はそう言っていましたね。何の確証も無いってのに。
というか、そもそもそれは星というより流れ星──。
……いえ、こういうのは無粋だと言っていましたっけ。
信じる思いが、心が大切だと。
では、私も、今は神頼みすらしたくなる程なので、願いましょうか。
「──貴女が、貴女の友達とまた会えますように」
お題*星に願って
またこの朝を迎えた。
ずっと変わらない、単調な目覚ましを止め、いつもの挨拶を繰り返し、人間に押され、空気に押され、気圧に押され、言葉に押され。そして時間を食いつぶす。
そんな毎日に辟易した僕は、ある日通販で、気になっていた本を買った。
かなり分厚い本だから、すぐには読み終わらないだろう。
どうかこの本を読み終わる前に、僕の人生が終わりませんように。
お題*終わらない物語
「はいっ、どーぞ!」
ある日、私は愛おしきあいつにプレゼントを渡した。あいつはすごく驚いていたけれど、すっごく嬉しそうに喜んでくれた。私は、とても幸せな気持ちでいっぱいに……。
──なったら良かったんだけど。
あの日、あいつは忽然と姿を消した。
自称あいつの弟子である私の仲間が誘ってくれたものだから、私はそいつとともに、あいつを探しに行くことにした。
大丈夫、そう信じて行くしかない。
……絶対また、あいつと一緒に笑えるように。
お題*あなたへの贈り物