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4/7/2026, 2:12:09 AM

俺は許せなかった。
安易に君を救って、
偶像に憧れて、
適当にそれを演じて、
結局何も救えなかった。

俺は君だけのためのヒーローにはなれなかった。
かといって、世界を救うヒーローにもなれなかった。

中途半端だ。
これならいっそ、憧れのまま何も成さずに死んだほうがマシだったのではないか。

どうしようもない諦めと後悔に区切りをつけたいのに、君は今日も隣で笑っている。
その瞳が、俺を見ている。
笑っている。時間と傷が、俺を嗤っている。

俺の後悔は君だ。
だから、思い出す。



お題*君の目を見つめると

8/19/2025, 3:20:34 AM

 おれは嫌いだった。

 忙しなく、影の濃い無機質なその廊下に響く音が嫌だった。暗い部屋の向こうで起こってることに、全くの無沈着のように、我々のことなどどうでもいいかのように。

 それでも隣にいたあいつは、おれを友達と言い、ずっと楽しそうに話をしてくれた。パタパタと聞こえるそれに対して、
「誰かきた!お世話係の人かな?」
 だとか楽しそうにして。

 被検体のおれとおまえと。

 終わりはあっけなく、
 あの研究所という名の白い牢獄で、あいつは殺された。


 ……今でも怖い。
 手を引かれて笑顔で消えてったあいつを思い出す。

 それでも、無機質を抜け出して青空を拝むことについに成功したおれは、今、自らそれを鳴らしている。

 足を、必死に、弱々しく動かして。




 お題*足音

6/16/2025, 4:09:59 AM

──お揃いのものを買う。

恋人、友達同士なら、一度はやったことがあるかもしれないこと。
私は、大好きな貴方と一緒にショッピングに出かけたとき、貴方がそれを言い出したっけ。
お揃いのそれが机にあるのを想像して、凄く笑顔になったのを覚えている。

今も机に置いてある、2つの小さなマグカップ。

彼の大きな手にちょこんとそれが握られているのが、とても可愛かったな。
ホットミルクが大好きで、飲む度に口の周りが真っ白になってて、拭いてあげてたな。


貴方に会いたい。

会いたい。


……駄目なのに。

貴方の呪いの言葉に、今も生きている。
貴方の後を追っては、きっと貴方は悲しむから。



さぁ、座って。お茶にしましょ。


お題*マグカップ

5/22/2025, 2:49:52 AM

 ──太陽。
 僕の名前は、そこからつけられたらしい。最近じゃきっとよくある名前だろうけど、聞くだけでなんか心が暖かくなるような、照らされるような……陽向にいるような、そんな感じがして僕は好きだ。

 友達は、夜が好きだと言う。
 暗くって、静かで落ち着くんだって。僕も確かになぁと思った。

 でも僕は、それでも朝が好きだと言いたい。

 日が昇り、優しい光が世界に挨拶してくれる、そんな静かで優しい朝が好き。吸い込まれそうな藍色が、淡く、鮮明な橙色に染まって、混ざり合って澄んだ青色が顔を覗かせる……。

 今日も良い一日になりそうだ。



 お題*Sunrise

3/21/2025, 6:12:45 AM

 ただ走って。走って。
 逃げていた。逃げてしまった。

 そして、道に倒れ込んだ私を拾ってくれたのがあの人。
 すっごく優しくて、こんな人、ほんとにいるんだって驚いたのをよく覚えている。
 そんな素敵な人を。
 私を我が子のように可愛がってくれたあの人を。

 ……私は、きっと裏切ってしまったのだろう。

 誰かだったそれらがあちこちに転がってる廊下で横たわったまま動かない、たったひとりの友だち。

 連れて行かれたあの人。

 私が幸せに生きていけるように、必死に手を尽くしてくれたとある人。

 あの人も
 あの人も
 手を繋いでくれていた


 分かってます



 悪いのは私です。



 お題*手を繋いで

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