厳格な人、と思った。
いつも厳しい顔して、他人にも自分にも怒ってばかりで。
「そういうやつだから」って皆言うけど、結局その人を見て知るのがのが怖いだけじゃないのって。
そう言いたいけど、これ以上誰かにキレられるのは面倒。
私はそう思って、私だけ知ってるのも面白そうだし、そういうやつと言われた彼と話をしてみた。
確かにそういう人だった。
厳しい顔して。
他人も自分も叱ってて。
誰かと真摯に向き合ってて。
己を律し続けてて。
確かに厳しくて、誰よりも優しい人だった。
予想通り、これは私だけが知ってる方が面白そう。だから、私は今日も彼の元へ。
ここまで来たら、その鋭い瞳の奥が気になるもの。
お題*ルール
今日も雨だった。
晴れ空の色を思い出せない。
いつからこうなっていたのかも忘れてしまった。
飽きることなく泣く空を眺める。
いっそ空の方から「もう二度と晴れませんよ」だとか言ってくれればまだ諦めがつくだろうけど、空はただ泣くばかりだ。
……窓の下を見下ろす。
暗い水面の奥、沈んだ建物の間を魚たちが泳いでいる。
ふと手を伸ばしてみた。
空から落ちてきて、腕に驚いて跳ね返るように飛び跳ねるそれを見ていると、不思議な気分になった。
なんだか気になって、私はしばらく水面をつついていた。
お題*雫
スマホを構える。
……いや、それはもうおしまい。
今はボロいカメラ。スマホは充電が無い。
動かなくなってしまった黒い金属板を眺める。
こんなことならモバイルバッテリーを持っとけばよかった。────いや、それもじきに尽きるか。
自分でも不思議だった。スマホが無けりゃ生きてけなーいだなんて思ってたのに、今ではその存在を忘れている時間の方が多い。
壊れた世界で、終わってしまったはずの世界で。
でも、日々は終わらなかった。
世界も、思ったより広かった。
誰が予想してたんだろうか、世界が終わることも、また新しく始まってくことも。
ボロボロのカメラだけど、間違いなく、あの頃よりワクワクする。
こうなることがもし見える魔法とかがあれば、きっとすぐにモバイルバッテリーを買いに行ったんだろうけど、この未来は知らなくて良かったんじゃないかな。
もし知ってたら、きっと今ほど面白くなかっただろうから。
お題*もしも未来を見れるなら
私は待っていた。
それは私のためと今は思うこととしている。
あなた様が私のために動いてくれているのは分かっているから。
あなた様が私のために私を置いて行ったのも分かっているから。
あなた様が。
あなた様が。
私を創ってくれたあなた様は、私のために日々を紡いでいる。
私も、私のために日々を紡いでいる。
なんだか一方的だ。
私は、あなた様のために何かできるだろうか。
……なんだかむず痒い。
それでも、あなた様に会いたくて泣いていたあの時よりかは、きっと笑顔だ。
私は、私のために待っている。
あなた様に、この機械仕掛けの身体を直してもらうため。
笑顔であなた様を迎えるため。
笑顔のあなた様を、迎えるため。
お題*届かぬ想い
俺は許せなかった。
安易に君を救って、
偶像に憧れて、
適当にそれを演じて、
結局何も救えなかった。
俺は君だけのためのヒーローにはなれなかった。
かといって、世界を救うヒーローにもなれなかった。
中途半端だ。
これならいっそ、憧れのまま何も成さずに死んだほうがマシだったのではないか。
どうしようもない諦めと後悔に区切りをつけたいのに、君は今日も隣で笑っている。
その瞳が、俺を見ている。
笑っている。時間と傷が、俺を嗤っている。
俺の後悔は君だ。
だから、思い出す。
お題*君の目を見つめると