9/23/2024, 11:51:19 AM
浅瀬に浮かぶジャングルジムに手を掛けた。
先には広く海が広がっていて
二段も上ると、水面下の美しい町が一望できる。
片手を離し、風を受ければ、
海賊船の船長にでもなった気分になった。
たくさんの仲間を連れて勇敢に嵐の中を進んでいく..
海中都市なんて綺麗な言葉には騙されない。
水没したこの街のみんなに会いに行く勇気、
一体あとどれくらいしたら手に入るのだろうか。
日が昇り始めると水面に光が反射してやけに眩しくなり、もうひとつの世界は見えなくなる。
僕は毎朝、世界からただ一人分断されるような気持ちになるのだった。
誰もいなくなった船を行き場も分からず進める。
とってもとっても晴れた日に
9/22/2024, 2:38:00 PM
騒然とした街に華やかな鐘が鳴り響く。
とたんに街ゆく人々は地面に膝をつけて
天に祈りを捧げた。
静寂が訪れる。
美しい海が隣接するここパレイドゥーマでは、
月に一度だけこの鐘が鳴る。
桜の樹の下には死体が埋まっているなんてよく言うけれど、美しい海には一体何が隠されているんだろう。
ほら耳を澄ましてみて。
声が聞こえるでしょ。
また鐘が鳴って
街はいつものように動き始めるのだった。