ナツキとフユト【32 星座】
「フユトって何座?」
「何座って?」
「星座だよ」
「ああ、水瓶座」
「じゃあ、獅子座と相性ぴったりだ」
「獅子座って?」
フユトが聞くと、ナツキはにんまりしながら自分の顔を指した
それから、不意に真顔になって言う
「1ヶ月一緒に暮らして、どう?」
「ど、どうって…」
「相性、いいと思わない?」
「え…」
「悪いと思った?」
「いや、そんなことは」
「だよね」
ナツキは再び笑顔になった
(つづく)
ナツキとフユト【31 神様だけが知っている】
ナツキがフユトの部屋にやって来た本当の理由も、インコがどこから飛んで来たのかも、フユトが忘れてしまっている遠い日のあのことも、神様は全部知っている
なんなら将来フユトが開くことになるカフェの店名も
だって神様だからね
ナツキとフユト【30 この道の先に】
ナツキが部屋に転がり込んできて1ヶ月
なぜかインコまて飼うことになった
フユトは考える
ずっと一人で生きてきて、この先も一人で生きていくつもりだったんだが
この先、俺の人生はどうなるんだ?
(つづく)
ナツキとフユト【29 日差し】
ナツキは、子供の頃にインコを飼っていたという
「ピーちゃん、おいで」
ナツキが優しく話しかけていると、やがて落ち着きを取り戻したインコは、そっと差し出した手に乗った
フユトは、駅前のデパート内にあるペットショップに、ケージとエサを買いに走った
「日光浴は大事だけど、この時期は熱中症にも気をつけないと」
そう言って、ナツキはインコの入ったケージを窓辺に置いた
(つづく)
ナツキとフユト【28 窓越しに見えるのは】
「あーっ!」
窓の外を見ていたナツキが、大声を上げながら窓を大きく開けた
「なんだよ」
フユトがそう言った次の瞬間、小鳥が部屋に飛び込んできた
「うわっ!」
素早く窓を閉めながらナツキが言う
「インコだよ。どこかで飼われていた子が、放れて迷子になったんじゃない?」
バタバタと部屋の中を飛び回っていた水色の小鳥は、やがて椅子の背もたれに止まった
(つづく)